2030年問題とは?建設業の人手不足の対策、高齢化課題の解決策
建設業界では、深刻な人手不足や技能者の高齢化が大きな課題となっています。特に「2030年問題」と呼ばれる将来的な労働力不足は、建設現場の生産性や事業継続に大きな影響を及ぼす可能性があります。実際に、多くのベテラン技術者が引退期を迎える一方で、若手人材の確保や育成は十分に進んでいない状況です。
こうした課題を解決するためには、人材確保だけでなく、DXの推進やICT・AIの活用、生産性向上に向けた業務改革など、多角的な対策が求められています。
本記事では、建設業における2030年問題の概要や人手不足・高齢化がもたらす影響を解説するとともに、企業が今から取り組むべき具体的な解決策についてわかりやすく紹介します。
(1)建設業の2030年問題とは?人手不足が「当たり前」になるリスク

建設業界では、少子高齢化による労働力不足が年々深刻化しており、その象徴として注目されているのが「2030年問題」です。特に建設業は、他産業と比べても高齢化が著しく、熟練技能者の大量引退が目前に迫っています。
一方で、インフラ更新や災害対策、都市再開発など建設需要は今後も継続すると予測されており、「仕事はあるのに人がいない」ということが現状の課題です。ここでは、建設業の2030年問題とは何か、人手不足が常態化すればどのようなリスクが生じるのかを、公的機関のデータをもとに解説します。
2030年問題の定義:全就業者の約3割が高齢者という衝撃
建設業における2030年問題とは、少子高齢化の進行によって生産年齢人口が減少するなか、多くの熟練技能者が引退期を迎え、労働力不足が一気に顕在化する問題を指します。
国土交通省の資料によると、建設業就業者のうち55歳以上の割合は約35%に達しており、29歳以下は約11〜12%にとどまっています。つまり、若手人材の数よりも高齢就業者の数が大幅に多く、世代交代が十分に進んでいない状況です。

また、厚生労働省と国土交通省が公表した資料では、建設技能者の約4分の1が60歳以上であることも示されています。今後10年以内に大量退職が発生することは避けられず、2030年前後には人材不足がさらに深刻化すると考えられています。
建設業は社会インフラを支える基幹産業であるため、この問題は単なる業界課題ではなく、国民生活や地域経済にも大きな影響を与える可能性があるでしょう。

(参照元:https://www.qsr.mlit.go.jp/ict/iconstruction/about.html?utm_source=chatgpt.com)
建設業 2030年問題の特異性:技術継承の「断絶」が起きる年
建設業の2030年問題が深刻視される理由は、単純な人数不足だけではありません。最大の課題は、熟練技能者が持つ高度な技術やノウハウの継承が難しくなる点にあります。
建設現場では、施工品質や安全管理、工程調整など、多くの業務が経験に基づく判断によって支えられています。特に職人の技術はマニュアル化しにくく、長年の現場経験を通じて習得されるケースが少なくありません。
しかし、国土交通省は建設業において高齢化が進行し、「次世代への技術継承が大きな課題」と明記しています。55歳以上の割合が約35%を占める一方で、若年層の入職が十分でないため、ベテランが引退すると技術伝承が間に合わない恐れがあります。
その結果、施工品質の低下や工事の安全性への影響、さらには企業の競争力低下につながる可能性があるでしょう。2030年問題は「人が足りない問題」ではなく、「技術が失われる問題」でもあるのです。
(参照元:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_62111.html?utm_source=chatgpt.com)
需要はあるのに作れない?「建設業は人手不足が当たり前」が招く供給制限の恐怖
今後の建設業界で懸念されているのは、「需要不足」ではなく「供給不足」です。
日本では高度経済成長期に整備された道路、橋梁、トンネル、上下水道などの老朽化対策が急務となっています。また、防災・減災対策や再開発事業なども継続的に発生するため、建設需要そのものが急激になくなるわけではありません。
一方で、国土交通省は近年の白書で、担い手不足によるサービス供給制約への対応を重要課題として挙げています。建設分野では労働力不足が原因で施工能力が不足し、必要な工事を予定どおり実施できなくなるリスクが指摘されています。
実際に、建設業就業者数は1997年の約685万人をピークに減少し、現在は約477万人前後まで縮小しています。需要があるにもかかわらず、担い手不足によって工事の着工遅延や工期の長期化が発生するケースも増えています。

もし2030年問題への対策が十分に進まなければ、住宅建設の遅延やインフラ更新の停滞、災害復旧の長期化など、社会全体に大きな影響を及ぼす可能性があります。建設業の2030年問題は、企業経営だけでなく、日本の社会基盤そのものに関わる重要な課題といえるでしょう。
(参照元:https://kensetsu-roudou-jikan.mhlw.go.jp/outlook.html?utm_source=chatgpt.com)
(2)データで見る建設業界の人手不足の現状と2030年への予測

建設業界では、人手不足と高齢化が長年の課題となっていますが、近年はその深刻度がさらに増しています。国土交通省や厚生労働省の統計によると、建設業就業者数はピーク時から約30%減少している一方で、インフラ更新や防災・減災対策などの需要は依然として高い水準にあります。
こうした需給ギャップは2030年に向けてさらに拡大すると予測されており、建設業界の持続的な成長には抜本的な対策が求められているのが現状です。公的機関のデータをもとに、人手不足の現状と2030年に向けた課題を整理します。
建設業の人手不足を示すグラフと国土交通省の調査データ
建設業の人手不足は、就業者数の推移からも明確に読み取れます。総務省「労働力調査」を基にした国土交通省および日本建設業連合会の資料によると、建設業就業者数は1997年の685万人をピークに減少し、2024年には477万人まで縮小しました。約30%もの減少となっており、他産業と比較しても深刻な人材流出が続いています。
また、建設業の有効求人倍率は全産業平均を大きく上回る状況が続いています。こうした状況から、多くの建設会社が受注機会を逃したり、工期の調整を余儀なくされたりするケースが増えているようです。
(参照元:https://kensetsu-roudou-jikan.mhlw.go.jp/outlook.html?utm_source=chatgpt.com)
ハローワークにおける建築・土木・測量技術者の有効求人倍率や新規求人倍率はここ1年間横ばいの推移となっていますが、建設技術者を採用することは依然として困難な状況が続いています。そのため、採用手段についても引き続き検討が必要な状況です。
建設業界の人材市場動向については、月次レポートにまとめています。こちらも併せてご確認ください。
建設業界の高齢化と若年入職者の減少:今後10年の労働力予測
建設業の人手不足をさらに深刻化させているのが、高齢化の進行です。厚生労働省の資料によると、2024年時点で建設業就業者の36.7%が55歳以上である一方、29歳以下は11.7%にとどまっています。若手人材の割合が低く、世代交代が十分に進んでいない状況です。
さらに、国土交通省は「次世代への技能承継」を重要課題として位置付けています。ベテラン技能者の大量退職が進む一方で、若年入職者数は増加傾向にあるものの十分とはいえず、今後10年で労働力不足が一段と深刻化する可能性があります。
(参照元:https://kensetsu-roudou-jikan.mhlw.go.jp/outlook.html?utm_source=chatgpt.com)
2025年建設業の景気動向と2030年への転換点
2025年の建設業は、公共インフラの老朽化対策や防災・減災事業、都市再開発などを背景に一定の需要が維持されています。一方で、人手不足による施工能力の低下が経営課題として浮上しています。
建設業就業者数は2025年度も約477万人前後で推移しているものの、ピーク時から大きく減少した状態が続いている現状です。また、人材不足による採用競争の激化や人件費上昇も企業収益を圧迫する要因となっています。
2030年に向けては、単に人材を確保するだけでなく、生産性向上が重要なテーマとなるでしょう。国土交通省が推進するICT施工やBIM/CIM、建設DX、CCUS(建設キャリアアップシステム)の活用などを通じて、少ない人員でも高い施工能力を維持できる体制づくりが求められています。
今後の建設業は、「人を増やす時代」から「生産性を高める時代」へと移行していくと考えられます。2030年問題は危機である一方、DXや働き方改革を加速させる転換点でもあるのです。
(参照元:https://www.nikkenren.com/publication/handbook/chart6-4/index.html?utm_source=chatgpt.com)
(3)なぜ建設業界で人手不足が加速しているのか?主な原因

建設業界の人手不足は、単純に「働き手が少ないから起きている問題」ではありません。高齢化による担い手不足、建設コスト上昇による経営環境の悪化、若年層の入職減少など、複数の要因が重なり合って深刻化しています。
特に近年は物価高や賃上げの影響も加わり、人材確保と収益確保の両立が難しくなっているようです。
ここでは、国土交通省や厚生労働省などの公的データを基に、建設業界で人手不足が加速している主な原因を解説します。
建設業の構造的背景:全産業を上回る高齢化率
建設業の人手不足が深刻化する背景には、他業界よりも高齢化が進んでいるという構造的な問題があります。

厚生労働省・国土交通省が公表している「建設業の現状」によると、2024年時点で建設業就業者のうち55歳以上の割合は36.7%です。一方、全産業平均は32.4%であり、建設業は平均を4ポイント以上上回る高齢化率となっています。
また、同資料では建設業就業者のうち29歳以下は11.7%にとどまっており、全産業平均の16.9%を大きく下回っているようです。これは「退職する人の数に対して、新たに入職する若手が不足している状態」を意味します。
さらに建設業は、資格取得や現場経験が求められる職種が多く、人材育成に長い時間を要します。そのため、ベテラン技能者が退職すると、人数だけでなく技術やノウハウも同時に失われるリスクがあるでしょう。
(参照元:chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001592320.pdf?utm_source=chatgpt.com)
人件費の高騰と物価高による利益率の圧迫
近年の建設業界では、人材不足だけでなく「人材確保コストの増加」も大きな課題となっています。
国土交通省が発表した「令和7年度公共工事設計労務単価」によると、全国全職種平均の日額単価は24,852円となり、前年度比で6.0%増となりました。さらに2013年度比では約85%上昇しており、労務費の増加が続いています。
一方で、資材価格も高騰しています。国土交通省の建設工事費デフレーターでは、鋼材やコンクリート製品などの建設資材価格がコロナ禍以降上昇傾向にあり、建設会社のコスト負担が増加しています。
労務費や資材価格の高騰を工事価格へ転嫁できれば問題ありませんが、特に中小企業では価格競争が激しく、十分な利益を確保できないケースも少なくありません。その結果、採用活動や社員教育に投資する余力が減少し、人手不足の解消が難しくなるという悪循環が生まれています。
(参照元:https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001864366.pdf)
若者が建設業で人手不足を感じる「3K」イメージと離職率
建設業界の人手不足を加速させている要因のひとつが、若年層の入職・定着の難しさです。近年は働き方改革やICT活用によって労働環境が改善されつつあるものの、依然として「きつい・汚い・危険(3K)」というイメージが根強く残っています。
厚生労働省の「建設労働をめぐる情勢について」(2025年10月公表)によると、新規学卒者の就職後3年以内離職率は、建設業の高卒就職者で43.2%となっています。これは全産業平均の38.4%を上回る水準です。
一方で、大卒就職者の3年以内離職率は30.7%で、全産業平均の34.9%を下回っています。つまり、建設業界全体で離職率が高いというよりも、特に現場技能職を中心とした高卒人材の定着が課題になっていると考えられるでしょう。

また、国土交通省が推進する担い手確保施策では、若年層が建設業を敬遠する理由として、
・体力的な負担が大きいイメージ
・危険な作業が多いイメージ
・休日が少ないイメージ
・キャリアアップの道筋が見えにくいこと
などが指摘されています。
実際には週休2日制工事の普及や建設DXの推進により労働環境は改善していますが、業界イメージの変化が十分に浸透しているとはいえません。その結果、若者の入職者数が伸び悩み、人材不足の解消が難しくなっています。
さらに建設業では、若手が一人前の技能者として育つまでに長い経験が必要です。早期離職が発生すると企業側の育成投資が回収できないだけでなく、将来の現場を支える中核人材の不足にもつながります。そのため、給与や休日数の改善だけでなく、「将来性のある職業」としての魅力発信やキャリア形成支援が重要な課題となっています。
(4)2030年問題が建設業界に及ぼす深刻な影響

建設業界の2030年問題は、単なる人手不足の話ではありません。担い手の減少が進むことで、企業経営や現場運営だけでなく、社会インフラの維持や地域経済にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
特に今後は、高齢技能者の大量退職や技術継承の停滞、人材不足による受注機会の損失などが深刻化すると予想されています。ここでは、2030年問題が建設業界にもたらす主な影響について解説します。
人手不足による「受注しても着工できない」事態
これまでの建設業界では、受注競争によって仕事を確保することが重要な経営課題でした。しかし今後は、「仕事はあるのに人がいない」という状況が常態化する可能性があります。

実際に人手不足が深刻な地域や工種では、受注できる案件数を制限したり、工期を長めに設定するケースが増えています。特に大型プロジェクトや複数現場を同時に進める案件では、必要な技能者や施工管理者を確保できなければ着工そのものが難しくなるでしょう。
また、公共工事やインフラ整備事業では、発注が行われても施工体制を組めないために入札参加を見送る企業が増える可能性もあります。人手不足が進行すると、建設会社の売上機会の損失だけでなく、地域全体の開発計画やインフラ整備にも影響が及ぶことが懸念されています。
ベテラン層の大量退職と専門スキルの継承困難
建設業界では、多くの技術やノウハウが現場経験を通じて受け継がれてきました。そのため、ベテラン技能者の引退は単なる労働力の減少ではなく、技術資産の喪失にもつながります。
たとえば、施工品質を維持するための細かな判断、安全管理の勘所、協力会社との調整能力などは、マニュアルだけでは習得が難しいスキルです。長年の経験によって培われた知識が失われることで、現場全体の生産性や品質低下を招く可能性があります。
さらに、人手不足によって若手社員への教育時間を十分に確保できない企業も増えています。本来であれば数年かけて行う技術継承が難しくなり、次世代を担う人材の育成にも影響を与えかねません。
2030年問題の本質は、人員不足だけでなく「技能継承の空白期間」が発生するリスクにあるともいえるでしょう。
人手不足倒産の増加と社会インフラ維持への懸念
人手不足は企業経営にも直接的な影響を及ぼします。必要な人材を確保できなければ、受注機会を逃したり、工期遅延によるコスト増加が発生したりするためです。
また、人材確保のために賃金を引き上げても、それを工事価格へ十分に転嫁できなければ収益は圧迫されます。その結果、事業継続が困難となり、人手不足を原因とする倒産リスクも高まります。
帝国データバンクの調査によると、全国の建設業の倒産件数は令和6年には1,890件となり、前年比+219件増、ここ数年倒産件数は増加傾向にあります。

さらに深刻なのは、建設業界の問題が社会全体の問題へ発展する可能性があることです。道路や橋梁、上下水道、河川施設などの社会インフラは、建設業によって維持・更新されています。もし担い手不足によって必要な工事が実施できなくなれば、老朽化対策や災害対策の遅れにつながり、国民生活にも大きな影響を及ぼしかねません。
国土交通省によると2030年には、建設後50年以上経過する施設の割合が道路橋約54%、トンネル約35%、河川管理施設約42%、水道管路約21%、下水道管渠約16%、港湾施設約44%となっています。このように一斉に老朽化するインフラを戦略的に維持管理・更新することが求められています。2030年問題は建設会社だけの課題ではなく、日本の社会基盤を支える重要なテーマとして捉える必要があります。
(参照元:https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/maintenance/02research/02_01.html
(5)建設業界の人手不足対策:今取り組むべき解決策

建設業界の人手不足は、もはや一企業だけで解決できる課題ではありません。少子高齢化による労働人口の減少が続く中、従来と同じ採用手法や働き方だけでは十分な人材を確保することが難しくなっています。
そのため、今後は人材の定着率向上や生産性向上、多様な人材の活用を組み合わせた総合的な対策が求められます。2030年問題を乗り越えるためには何が必要なのか、建設業界が今取り組むべき主な解決策を見ていきましょう。
建設業の今後のカギを握る「処遇改善」と「働き方改革」
人手不足を解消するためには、まず「建設業で働きたい」と思われる環境づくりが欠かせません。その中心となるのが処遇改善と働き方改革です。
近年は賃金水準の見直しや週休2日制の導入が進み、建設業の労働環境は少しずつ改善されています。しかし、他業界と比較すると依然として長時間労働や休日取得への不安を抱く求職者も少なくありません。
今後は給与や賞与の充実だけでなく、適正な労働時間管理や有給休暇の取得促進、福利厚生の整備など、働き続けやすい職場環境を構築することが重要です。また、若手社員が将来のキャリアを描けるよう、資格取得支援や昇進制度の明確化を進めることも定着率向上につながります。
人材確保競争が激化する時代だからこそ、「採用する力」だけでなく「辞めさせない力」が企業の競争力を左右するといえるでしょう。
建設DXの推進:ICT建機やBIM/CIMによる業務効率化
人手不足時代においては、人を増やすだけでなく、一人ひとりの生産性を高めることも重要です。そのための有効な手段が建設DXの推進です。たとえば、ICT建機を活用すると、測量から施工までの作業効率を向上させることができます。
また、BIM/CIMを導入すると、設計・施工・維持管理に関わる情報を一元管理できるため、手戻りや施工ミスの削減につながります。さらに、クラウド型の施工管理システムや遠隔臨場、ドローン測量などの活用により、現場と事務所間の情報共有もスムーズになるでしょう。
これまで経験や勘に頼っていた業務をデジタル化することで、少ない人員でも効率的に現場を運営できる体制づくりが可能になります。今後はDXを単なるIT化ではなく、「人手不足を補う経営戦略」として捉えることが重要です。
外国人材の受け入れと女性活躍・多能工化の推進
建設業界が持続的に成長するためには、従来の人材層だけに依存しない採用戦略も必要です。そのひとつが外国人材の活用です。
技能実習制度や特定技能制度を活用することで、多くの企業が現場の担い手確保を進めています。今後は単なる労働力としてではなく、長期的に活躍できる人材として教育やキャリア支援を行うことが重要になるでしょう。
また、女性が働きやすい職場環境の整備も欠かせません。現場設備の改善や柔軟な働き方の導入によって、施工管理や設計、現場運営など幅広い分野で女性が活躍できる可能性が広がっています。


さらに近年注目されているのが多能工化です。一人の作業員が複数の技能を身につけることで、人員配置の柔軟性が高まり、現場全体の生産性向上につながります。限られた人材を有効活用するためにも、多能工の育成は今後ますます重要になるでしょう。
建設業界の人手不足は短期間で解決できる問題ではありません。しかし、処遇改善、DX推進、多様な人材活用を組み合わせて、持続可能な業界への転換を進めることは十分可能です。2030年問題への対応は、未来の建設業を支える重要な投資といえるでしょう。
(参照元:chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001592320.pdf?utm_source=chatgpt.com)
昨今、賃金上昇はどの業界でも実施されているため、それだけでは人手不足解消にはつながりません。複数の施策を行うことで、働きやすい、働き続けたい環境を整えることが重要です。ここ数年、派遣社員から派遣先の直接雇用になるケースが増加しており、いい人材を自社の社員として確保しようという動きが活発化していると感じます。新卒や中途採用だけではなく、派遣活用も人手不足のひとつの解決策として有効になるかもしれません。
当社では、中途採用(人材紹介)や、人材派遣、外国籍人材の派遣や紹介も行っています。建設DXに必要なITエンジニアや、BIM/CIM人材、施工管理などの有資格者など、人材でお困りの際はぜひご相談ください。
(6)【事例】建設業の問題をIT・デジタルで解決した成功モデル

建設業界では、人手不足の解消や働き方改革を実現するために、ITやデジタル技術を活用する企業が急速に増えています。かつては「現場仕事はデジタル化が難しい」と考えられていましたが、近年は施工管理アプリやICT建機、BIM/CIMなどの導入によって、生産性向上や労働環境改善に成功する事例が数多く生まれています。
特に2030年問題を見据えると、人材確保だけでなく、限られた人員で効率的に業務を進める仕組みづくりが不可欠です。
ここでは、建設業の課題をIT・デジタル技術によって解決した代表的な事例を紹介します。
施工管理アプリの導入による「現場事務のテレワーク化」事例
建設業では、現場監督や施工管理者が事務所へ戻ってから報告書作成や写真整理を行うケースが多く、長時間労働の要因となっていました。
近年は施工管理アプリの活用により、現場で撮影した写真や進捗情報をクラウドへ即時共有できるようになっています。これにより、事務所へ戻らなくても報告書作成や工程確認が可能となり、現場事務の一部をリモートで行える環境が整いつつあるのが現状です。
施工管理システムを活用した企業では、工程表や図面、写真データをクラウド上で一元管理し、現場・事務所・協力会社がリアルタイムで情報共有できる体制を構築しています。その結果、紙資料の受け渡しや電話確認が減少し、管理業務の効率化につながっています。
ICT建機・自動追従ロボットの活用で「少人化施工」を実現した事例
近年、大手建設会社や建設機械メーカーでは、自動運転技術やICT技術を活用した少人化施工の実証・導入が進められています。たとえば、複数の建設機械を自動で連携・制御しながら施工を行うシステムや、遠隔監視によって複数台の重機を効率的に運用する技術が開発されています。
こうした取り組みにより、これまで複数のオペレーターが必要だった作業を少人数で進められるようになり、人手不足への対応や生産性向上が期待されているようです。特に土工事や造成工事などでは、限られた人員でも施工体制を維持しやすくなるため、熟練技能者の不足を補う手段として注目されています。
また、自動化技術の導入によって危険区域への立ち入りを減らせるため、作業員の安全確保にもつながります。人手不足対策だけでなく、安全性向上や施工品質の安定化にも貢献することから、今後さらに活用が広がる可能性が高いでしょう。
BIM/CIM活用によるフロントローディング(工程の前倒し)の成功事例
建設工事では、施工段階になってから設計上の不具合や設備同士の干渉が発覚し、設計変更や工期延長が発生することがあります。こうした手戻りを防ぐために活用が進んでいるのがBIM/CIMによるフロントローディングです。
国土交通省のBIM/CIM活用事例として紹介されているダム建設プロジェクトでは、施工前の段階で地形や構造物、設備機器を統合した3次元モデルを作成し、設備同士の干渉や施工手順を事前に検証しました。
その結果、施工段階で発生しやすい設計上の問題を早期に発見でき、施工計画の精度向上や手戻りの削減につながっています。特に大型クレーンによる設備据付作業では、施工ステップを3次元モデル上で再現することで、機材配置や作業動線を事前に確認できるようになり、安全性と施工効率の向上を実現しました。
また、道路や河川整備事業でもBIM/CIMを活用した4D施工シミュレーション(3次元モデル+工程情報)が導入されています。施工手順や工程を可視化することで、発注者・設計者・施工者の認識を統一しやすくなり、着工前の協議や意思決定の迅速化につながっています。これにより、施工中の設計変更や調整作業が減少し、工程全体の効率化が図れるでしょう。
このようにBIM/CIMは、単なる3次元モデル作成ツールではなく、「施工前に課題を発見して解決する仕組み」として活用されています。設計段階から施工を見据えて検討を行うフロントローディングを実現することで、工期短縮や品質向上、生産性向上に大きく貢献しているのです。
中小企業でも導入可能!バックオフィスDXによる休日確保の実現
建設業の働き方改革というと、現場の効率化ばかりに注目が集まりがちですが、実は管理部門のDXも重要な役割を果たしています。
勤怠管理システムや給与計算システムを導入することで、これまで紙の日報や手作業で行っていた集計業務を自動化できます。また、スマートフォン打刻やクラウド管理によって、現場から直接勤怠情報を登録できるようになり、事務作業の負担を大幅に削減できるでしょう。
さらに、クラウドシステムを活用すると経理・総務・人事業務の一部をリモートワーク化することも可能です。管理部門の業務効率が向上すると、労働時間の正確な把握や適切な人員配置が実現しやすくなります。
その結果、長時間労働の是正や週休2日制の導入を進めやすくなり、現場の働き方改革を下支えする効果が期待できるでしょう。実際に中小建設会社のなかには、DXによる業務効率化によって4週8休への移行や残業時間削減を実現した事例もあります。
現場だけでなくバックオフィスを含めた全社的なDXこそが、持続可能な働き方改革の鍵といえるでしょう。
(7)まとめ:建設業 2030年問題は変革のチャンス

建設業界が直面する2030年問題は、人手不足や高齢化、技術継承の課題など、多くの企業にとって避けて通れない大きなテーマです。しかし、その一方で業界の在り方を見直し、生産性向上や働き方改革を進める絶好の機会でもあります。
処遇改善や人材育成に加え、ICT建機やBIM/CIM、施工管理システムなどの建設DXを活用することで、限られた人員でも高い成果を生み出せる環境づくりが可能になります。また、外国人材や女性人材の活躍促進、多能工化の推進など、多様な人材が活躍できる体制整備も重要です。
2030年問題を単なる危機として捉えるのではなく、持続可能な建設業へと進化するための転換点として捉え、今から具体的な対策に取り組むことが企業の成長と競争力強化につながるでしょう。
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