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建設業の業務効率化|建設DXの事例と失敗しない進め方

建設業の業務効率化は、どの作業に、どれだけの時間がかかっているかを把握することから始まります。工程表の更新や進捗の確認、電話やメールでの連絡、安全書類や工事写真の整理、議事録の作成、帳票のチェックなど、現場を支える業務のなかには、やり方を見直せるものがあります。

ただし、業務の内容を整理しないままツールの導入や外注を進めても、期待した効果が得られるとは限りません。対象となる作業と現場の状況を把握し、それに合った手段を選ぶ必要があります。

この記事では、業務を3つのフェーズに分け、5つの観点から改善の優先順位を考えます。そのうえで、人材派遣・外注・ツール導入・ツール開発の選び方と、導入後の効果を確かめる方法を、導入事例とともに紹介します。成功したケースに共通するノウハウも、ステップごとにまとめています。気になる項目は目次からお読みください。

なぜ今、建設業で業務効率化が必要なのか

建設業では、人手不足が続く一方で、建設投資の拡大が見込まれています。時間外労働の上限規制にも対応しながら業務を進めるには、従業員一人ひとりの作業負担を見直すことが欠かせません。

国土交通省によると、建設業の就業者数は2024年平均で477万人となり、ピークだった1997年から約30%減少しています。2025年の年齢構成は、55歳以上が36.6%、29歳以下が11.9%です。高齢化が進み、若手人材の獲得競争も激しいなか、採用による人員の補充だけに頼ることは難しくなっています。

一方、同省は2025年度の建設投資を、前年度比3.2%増の75兆5,700億円と見込んでいます。必要な業務を限られた人数で担えるよう、仕事の進め方を工夫する必要があります。慢性的な人手不足のなかで、限られたリソースを効果的に使えるかどうかが、会社の競争力を左右します。

また、働き方改革関連法により、2024年4月からは建設業にも時間外労働の上限規制が適用されています。時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間であり、業務の増加を残業だけで補う働き方には限界があります。

国土交通省の資料では、建設業の年間出勤日数は全産業より10日多く、総実労働時間は48時間長いとされています。現場の負担を減らすためにも、時間のかかっている作業を把握し、改善につなげることが重要です。




建設DXと業務効率化の違い

業務効率化は、作業時間や手間を減らし、限られた人員で業務を進めやすくする取り組みです。その効果は、時間と品質の2つで考えます。作業のスピードが上がることに加えて、転記ミスや記入漏れを防止し、差し戻しや手戻りが少なくなることも効率化の成果です。建設DXは、デジタル技術を活用し、情報共有や意思決定を含めた仕事の進め方を変える取り組みを指します。業務効率化が短期で成果を出しやすい改善であるのに対し、建設DXは組織全体の変化を伴う長期的な取り組みです。

たとえば、帳票の入力を自動化することは、個別業務の効率化です。そのデータを関係部署で共有し、確認や承認のワークフローまで見直せば、業務全体の改善につながります。

情報共有の方法も同じです。工程の変更や図面の差し替えを、従来のように電話・FAX・メールで個別に伝えていると、伝達漏れや「言った・言わない」が起こり、確認の電話が増えます。クラウド型の施工管理ツールで工程表・図面・写真を一元管理し、現場ごとのチャットでコミュニケーションをとれば、元請・協力会社・事務所が同じ情報をリアルタイムに確認でき、伝達漏れも解消しやすくなります。図面や写真にどこからでもアクセスでき、必要な資料を検索する時間も減るため、関係者間の情報共有が円滑になります。紙の書類を減らすペーパーレス化も、こうした情報管理の見直しと一緒に進めると効果が出やすくなります。

まずは身近な業務の効率化から着手し、そこで得られた成果を部署間の連携や業務全体の見直しへ広げていくと、取り組みを進めやすくなります。全社でDXを推進するプロジェクトを立ち上げる場合も、最初の成果は個別業務から生まれます。

建設業のDX・デジタル化はどこまで進んでいるか

建設業のデジタル化に関する調査は、対象とする業務や質問の内容が異なります。数値を比較するときは、何を調べた結果なのか、何社を対象にしているのかを確認する必要があります。

調査項目

結果

調査対象数

出典

ICT施工に取り組んでいる会社の割合

37%

1,496社

全国建設業協会調べ・国土交通省資料に掲載

現場管理のデジタル化・DXに未着手の会社の割合

33.2%

624社

インフォマートの調査

バックオフィスのデジタル化・DXに未着手の会社の割合

24.9%

511社

インフォマートの調査

 

調査の対象範囲が異なるため、これらの数値から建設業全体の進み具合をひとつの値で示すことはできません。ただし、現場管理でもバックオフィスでも、3〜4社に1社がまだ着手していないという傾向は共通しています。着手済みの会社でも取り組みの深さには差があり、自社がどの業務から手を付けるかを決めることが出発点になります。

 

建設DXによる生産性向上の動き

国土交通省によると、建設業の付加価値労働生産性は、2021年度に2015年度比で9.2%増加しました。一方、日本建設業連合会によると、その水準は全産業の約7割、製造業の約6割です。

個別の取り組みでは、国土交通省が、ICT施工を実施できる直轄土木工事で作業時間が平均約21%短縮したと報告しています。これは、2022年度時点の作業時間を2015年度と比較した結果です。

業界全体の生産性は上がりつつあるものの、他産業との差は大きく残っています。一方で、対象を絞った取り組みでは2割程度の時間短縮が確認されています。業界全体の数値は動向の把握に使い、自社では対象業務を絞って、その業務の実績で改善効果を確かめることが現実的です。

 

建設業の業務効率化でよくある3つの失敗

業務効率化では、導入する手段だけでなく、対象業務や運用方法、効果の確かめ方まで考えておく必要があります。ここでは、つまずきやすい3つの進め方を紹介します。

 

ツールを導入して終わってしまう

現場にタブレットやシステムを用意しても、誰が、どの業務で、どのように使うかが決まっていなければ、十分に活用されません。導入にあたっては、社内の管理者と操作を教える担当者、困ったときの相談先を決めておく必要があります。

あわせて、導入時の研修と、自社の業務に合わせた簡単なマニュアル(手順書)も用意します。ベンダーが提供する操作説明会や導入サポートを利用すれば、社内で教える負担を減らせます。関係する社員全員が同じ手順で使えるようにすることが、定着の前提です。協力会社にも使ってもらう場合は、社外向けの説明まで計画に含めておきましょう。

対象業務より先に手段を選んでしまう

比較サイトのおすすめや評判だけでツールを先に選ぶと、自社の業務に合うかを十分に検討できないことがあります。安全書類の作成、工事写真の整理、議事録の作成、帳票の集計では、必要な機能も確認すべき点も異なります。まずは時間のかかっている作業を特定し、その作業に使える手段を比較しましょう。

十分に検証せず全社に展開してしまう

部署や現場によって、扱う書類や仕事の進め方は異なります。ひとつの部署で使える方法が、ほかの部署でも同じように機能するとは限りません。限られた範囲で効果と課題を確かめてから、展開先を増やすことが大切です。

現場にある5つの制約も整理する

取り組みが進まない原因は、ツールの性能だけにあるわけではありません。業務や現場の状況にも目を向ける必要があります。

・新しいツールの使い方を学ぶ時間がない: 日々の業務に追われ、操作を覚える時間を確保できない。
・部門の業務に合わない: 部門ごとに手順や必要な機能が異なり、同じ仕組みでは対応できない。
・仕事を教えたり指示したりする時間がない: 人手を増やしても、業務の引き継ぎや指示が追いつかない。
・専門用語への理解が必要: 建設業の用語や工程を理解していないと内容を判断できず、
              外部の人やツールに任せられる範囲が限られる。
・帳票の様式がそろっていない: 発注者や元請、現場ごとに書式が異なり、そのままでは集計や自動化が難しい。

 

社内で見直しやすいのは、対象業務の選び方や役割分担、操作を教える体制などです。一方、発注者や協力会社をまたぐ書式・手順の変更には、社外との調整が必要になります。

中小企業庁の2021年版『中小企業白書』では、建設業の中小企業の3割強が、デジタル化の課題として「長年の取引慣行に妨げられている」を挙げています。こうした要因も把握したうえで、まずは社内の判断で改善できる業務から着手すると進めやすくなります。

 

3つのフェーズと5つの観点で業務を洗い出す

 

効率化する対象を決めるには、業務名だけでなく、そのなかで行っている作業まで書き出します。最初はツールや外注先を選ばず、現在の仕事の流れを整理することに集中しましょう。

業務を3つのフェーズに分けて整理する

業務を次の3つのフェーズに分けると、書き出す対象を整理しやすくなります。

フェーズ

洗い出す業務の例

入札・提案

入札情報の収集、積算資料や提案資料の作成

調査・設計・計画

図面や点検写真の確認、関連資料のチェック

施工・竣工

工程表・スケジュールの作成と更新、進捗管理、資材・作業員の手配と連絡、
安全書類の作成、工事写真の整理、日報・報告書・打合せ記録の作成、
竣工書類のとりまとめ

 

施工管理職員や現場事務所のスタッフ、入札・提案の担当者が担う業務には、資料作成や情報収集、チェック、データ入力などの事務作業があります。とくに施工管理職員は、工程管理・品質・安全・原価の管理に加えて、書類業務や、さまざまな関係者との連絡を多く抱えています。複数の案件を同時に担当している場合、工程の遅延や変更が出るたびに、工程表の修正と協力会社・資材業者への連絡が重なります。専門的な判断に時間を使えるようにするためにも、こうした周辺業務の負担を把握することが大切です。

たとえば「打合せの議事録作成」であれば、音声の文字起こし、内容の整理、専門用語の確認、関係者への共有といった工程に分けます。どこに時間がかかっているかがわかれば、効率化する範囲を具体的に決められます。

5つの観点から優先順位を考える

書き出した業務は、次の5つの観点で比較します。

観点

確認すること

作業内容

具体的に何をしているか。どのような手順で進めているか。

工数

1回の作業に何分・何時間かかるか。月に何回発生するか。

関わる人数

誰が担当し、誰が確認しているか。どこに業務負荷が集中しているか。

改善のしやすさ

手順を整理できるか。担当者を限定せずに任せられる部分があるか。

コア業務への影響

専門的な判断や、本来注力すべき業務の時間を圧迫していないか。

工数が大きく、コア業務を圧迫している作業は、改善したときの効果が最大になりやすく、優先度が高い候補です。そのなかから、手順を整理しやすく、限られた範囲で試せる工程を選びます。

関わる人数が多い業務は、改善できれば効果も大きくなります。ただし、関係者が多いほど、手順の変更に伴う引き継ぎや確認の手間も増えます。最初は関係者が少なく、効果を確かめやすい工程をひとつに絞りましょう。

改善前の作業時間と負担を記録する

対象を決めたら、現在の作業時間や処理件数を記録します。導入後に同じ項目を測れるように、確認方法も決めておきます。

・1件あたりの作業時間と、月間の処理件数
・作業・確認・修正に関わる人数と、それぞれの所要時間
・差し戻しや修正の件数(転記ミスの件数、記入漏れによる差し戻しの件数)
・同じ情報を2ヵ所以上に入力している重複入力の数
・電話やメールでの連絡・確認にかかっている時間
・その業務によって後回しになっている仕事

作業時間が短くなっても、確認や修正の手間が増えれば、全体の負担は減らないということがあります。担当者の作業だけでなく、前後の工程も含めて記録することが重要です。ミスや重複入力の数は、品質面の効果を確かめるための基準になります。

業務に合った手段を選ぶ

効率化する工程が決まったら、必要なスキルや現場の制約を踏まえて手段を比較します。主な選択肢は、人材派遣・外注・ツール導入・ツール開発の4つです。

手段

選ぶときに確認すること

選ぶ前に見ておくリスク

人材派遣

対象業務が派遣可能な範囲か、必要なスキル、就業期間、業務を教えたり指示したりする担当者

派遣が禁止されている建設業務(施工作業)を任せると、派遣先も労働者派遣法違反になる

外注

依頼する範囲、納期、費用、専門知識、成果物の品質と確認方法

図面や顧客・作業員の個人情報を社外に出すため、秘密保持契約と委託先の情報管理体制の確認が必要

ツール導入

業務に必要な機能、出力の精度(読み取り・変換が正確か)、操作性(説明なしで直感的に使えるか、1件あたりの入力手数、電波の弱い現場で使えるか、スマホで完結するか)、導入・運用費用、既存システムとの連携

現場で使われず、利用料だけが残る

ツール開発

開発する範囲と要件、開発方法、担当者のスキル、導入後の保守体制

開発した担当者や委託先が離れると、
修正・保守が止まる

操作性を4つに分けて確認するのは、「操作を覚える時間がない」という現場の制約に対応するためです。説明なしで使えて、入力の手数が少なく、電波が弱い場所でもスマホだけで作業を終えられるツールであれば、研修にかかる時間を抑えられます。

人材派遣は、任せる業務と必要なスキルを明確にする

建設現場での施工作業(建設業務)は、労働者派遣法により派遣が禁止されています。人材派遣で任せられるのは、工程表や安全書類の作成補助を含む施工管理の補助、現場事務、CADオペレーションなど、施工作業に直接従事しない業務です。任せたい業務がこの範囲に入るかを最初に確認しましょう。

そのうえで、任せたい業務を整理し、必要なスキルを募集要項に具体的に記載します。就業期間や引き継ぎ方法、日々の指示を担当する人も決めます。

単に人数を増やすだけでは、業務を教える負担が増えてしまうことがあります。既存の担当者にどれだけ余裕があるか、どこまで自立して作業できる人が必要かを、派遣会社と共有することが大切です。

将来的な直接雇用も考えている場合は、一定期間の派遣就業を経て双方が合意すれば直接雇用に切り替えられる「紹介予定派遣」を利用できるか、あらかじめ相談しておきましょう。

建設業向け人材派遣について詳しく見る(https://kensetsu-hr.resocia.jp)

外注は、依頼範囲と成果物の基準をそろえる

外注では、納期や金額に加えて、どこまでを依頼し、どのような状態で納品してもらうかを明確にします。社内で確認や修正を行う範囲も、事前に決めておくとスムーズです。

たとえば議事録の作成では、専門用語を理解できるか、発言の意図を整理できるか、必要な書式に対応できるかが選定のポイントになります。納品後の修正に時間がかかるようでは、担当者の負担は十分に減りません。

社内で日々の作業を細かく指示する時間がない場合は、一定の業務をまとめて依頼できる外注が候補になります。ただし、依頼内容の整理と成果物の確認を担う担当者は必要です。

議事録作成代行サービスについて詳しく見る

関連資料をダウンロードする

ツール導入は、実際の業務で使えるかを確かめる

AIを含むツールの導入では、機能の一覧だけで判断せず、実際に扱う資料やデータを使って試すことが大切です。無料トライアルがある製品は、同じ作業・同じ条件で比較すると違いを把握しやすくなります。

工程管理などの施工管理の本体業務では、クラウドベースの施工管理アプリが中心になります。スマホのアプリやWEBブラウザから工程表を共有すれば、工程の変更や進捗状況が可視化され、関係者がリアルタイムに確認でき、遅延への対応や資材・作業員の手配を早められます。最新の製品の多くは、工程表に加えて図面・写真の管理、チャット、日報の機能を備えています。勤怠管理システムと組み合わせれば、時間外労働の上限規制に沿った労働時間の把握もしやすくなります。

資料作成や情報収集、集計・分析、チェックの支援には、AIを活用する方法があります。また、議事録作成ツール、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)による定型処理、AI OCRによる紙の帳票や画像のデータ化、電子契約による契約書の締結なども選択肢です。建設工事の請負契約も、相手方の承諾を得れば電子契約で締結できます。多言語の会議など、使う場面に応じて翻訳機能の有無も確認します。

現場の作業そのものでは、ドローンによる測量や、ウェアラブルカメラなどを使って発注者が離れた場所から段階確認や立会いを行う遠隔臨場も広がっています。移動や待ち時間を減らせるため、対象となる工事では検討する価値があります。

特に、データ入力のように繰り返しが多く、入力する情報と必要な出力が決まっている作業は、ツールの適用範囲を検討しやすい業務です。RPAでは、設定によって夜間に処理を実行し、集計や振り分けを効率的に進めることもできます。定型的な事務作業は、自動化によって作業時間を大幅に減らしやすい領域です。

ただし、操作の習得や、出力内容の確認にかかる時間も含めて評価する必要があります。

試用するときの注意点は出力の精度です。精度が低いと、人が確認・修正する作業が増え、短縮したはずの時間が消えてしまいます。AI OCRは、印字された帳票より手書きの帳票のほうが読み取りの精度が低下する傾向があります。試用では、自社で実際に使用している帳票を10〜20枚読み込ませ、項目ごとに正確に読み取れた割合を数えましょう。議事録作成ツールでは、工法や資材名などの専門用語が正しく変換されるかを確認します。

ツール開発は、必要な機能と運用体制を具体化する

既存のツールでは業務に対応しきれない場合は、自社向けのツール開発も候補になります。
開発前には、どの作業を自動化するか、どのデータを使うか、既存システムとどう連携するかを整理します。開発に必要なスキルを持つ人材が社内にいるか、外部へ依頼するかも検討します。
さらに、導入後に書式や業務手順が変わったとき、誰が修正・保守を担当するかまで決めておくことが重要です。

現場の事情に合わせて人とツールを組み合わせる

の手段で対応しきれない場合は、ツールと人の役割を分け、それぞれのメリットを最大限に生かすアプローチをとります。たとえば、定型的な入力や集計はツールで処理し、専門用語の解釈や例外への対応は人が担う方法があります。

操作を学ぶ時間が取れない現場では、外注を利用するほか、業務を支援しながら操作を教えられる人材を配置する方法も考えられます。帳票の様式が現場ごとに違う場合は、自動化の前に書式の整理や統一を進め、業務フローを最適化します。導入後に現場の努力だけで補おうとせず、こうした制約を選定段階の条件に含めておきましょう。

 

建設業の業務効率化と建設DXの事例

事例を見るときは、使われている技術だけでなく、対象業務と改善の範囲に注目します。自社で同じ効果が得られるかを考えるには、何をどこまで任せているかを確認することが大切です。

人材派遣を使ってDX推進した事例

建設業界では「ツールを導入したものの、現場や社内に扱える人員がいない」という課題が少なくありません。こうした状況に対し、スキルを持つ外部の人材派遣を活用して業務効率化を軌道に乗せた事例が増えています。
当社のBIM/CIMエンジニアの派遣事例をご紹介します。単に3Dモデルを作成するオペレーター業務にとどまらず、プログラミングやアドインツールを活用したツールの「カスタマイズ」や「業務の自動化」まで手掛けることができる人材を派遣しました。通常のモデル作成に加え、繰り返し発生するデータ入力作業の自動スクリプト作成や、派遣先の運用に合わせたツールカスタマイズをエンジニアに任せることで、作業時間の削減につながりました。
社内のリソースだけで一から教育するのではなく、すでにスキルのある専門人材をチームに組み込むことで、導入直後からスムーズにデータ作成やツール運用を開始できます。

人材派遣を活用したDXでは、「自社に必要なスキルセットは何か」「どの業務工程を任せるのか」を明確にすることが成功のポイントです。単なる人手不足の穴埋めではなく、DX推進を加速させるパートナーとして活用することで、短期間で大きな効果を得ることができます。

入札・提案資料の作成に生成AIを活用

生成AIのサービスを提供する会社は、自社開発の生成AIで入札資料や提案資料の作成を支援した事例や、入札情報・競合情報の集計・分析を自動化した事例を紹介しています。過去の提案書や落札実績をベースに、資料の下書きや情報の整理を短時間で行う使い方です。

自社の過去データを活用する業務では、どの情報を参照し、どのような資料を作るかによって必要な仕組みが変わります。既存のツールで対応できる範囲を確認したうえで、独自の開発が必要かを判断します。

点検写真・図面・Excelのチェックを支援

調査・設計・計画の業務では、AI-OCRやAIなどを活用し、点検写真や図面のチェック、Excelの数値チェックにかかる時間を短縮した事例があります。サービス提供会社が紹介する事例では、2〜3日かかっていた作業が数十分になったとされています。
こうした仕組みは、人が最終確認を行う前の情報整理や一次確認に活用できます。導入時には、何を自動で確認できるか、どの部分を人が確認するかを明確にする必要があります。

また、工事に伴う住民説明会などで回収した手書きのアンケートを、AI-OCRでデータ化した例もあります。当社が販売代理を行っているAI-OCRの読み取り精度は、非定型帳票でも平均99.6%となっており、従来の手入力より作業時間を大幅に削減できます。また、紙に記録された情報を集計できる形にすることで、その後の分析に利用しやすくなります。

議事録の作成を外注し、担当者の作業を減らす

施工管理に伴う打合せや定例会議の議事録作成を、まとめて外注する方法もあります。ヒューマンリソシアの議事録作成代行でも、ゼネコンや建設コンサルタントなど からの発注実績は250件以上、リピート率はほぼ100%です。建設業界に精通したスタッフが作成しています。

外注を検討する際は、納品された議事録の品質に加え、社内での確認・修正にかかる時間と、担当者がほかの業務に使える時間がどれだけ増えたかを確かめます。トライアルで1〜2件依頼し、自社でかかっていた作成時間と比べると判断しやすくなります。

帳票入力の効率化では、対象書類の違いにも注意する

『環境科学会誌』に掲載された報告では、産業廃棄物の紙マニフェストの入力時間が、1件あたり57秒から50.2秒に短縮されました。対象は定型の帳票に限られ、定型ではない帳票は手作業のままでした。

この例が示すのは、同じ帳票入力でも、書式がそろっているかどうかで自動化できる範囲が大きく変わるということです。確認する項目や記載内容によっても効果は変わるため、他社の短縮時間をそのまま自社に当てはめず、実際の書類で試すことが必要です。

事例の数値は、測定条件と情報源を確認する

効果を示す数値は、誰が、どの条件で測定・公表したものかを確認します。サービス提供会社が公表した実績も、測定の対象や条件を確かめることで、自社の業務と比較しやすくなります。

比較するときは、主に次の点を確認しましょう。

  • 対象となった業務と、処理した件数
  • 導入前後で比較した作業の範囲
  • 人による確認・修正の時間が含まれているか
  • 導入費用、運用費用、導入にかかった期間
  • 効果が出にくかった条件や、運用上の課題 

事例に記載されていない項目は、問い合わせやトライアルで確かめます。

スモールスタートで効果を確かめ、展開する

手段を選んだら、最初に決めたひとつの工程で試します。対象部署、扱う書類、試す期間、確認する項目をそろえると、導入前後の違いを把握しやすくなります。

作業時間と費用を、導入前後で比較する

効果の検証では、作業時間がどれだけ減ったかと、そのためにどれだけ費用がかかったかを確認します。導入前に記録した処理件数や作業時間と、同じ条件で比較することが大切です。

品質面では、転記ミスの件数、記入漏れによる差し戻しの件数、同じ情報を2ヵ所以上に入力している数を、導入前と比べます。作業時間があまり変わらなくても、ミスや手戻りが減っていれば、確認する担当者や後工程の負担は軽くなっています。

費用には、利用料や外注費だけでなく、初期設定、研修や操作の習得、引き継ぎ、確認・修正にかかる負担も含めて考えます。空いた時間をどの業務に使えるかも、導入の価値を判断する材料になります。コスト削減の効果は、減った作業時間に人件費の単価を掛けて金額に換算すると、予算の承認を得るときにも説明しやすくなります。

複数の手段を組み合わせる場合は、工程ごとに担当する範囲を記録します。どの作業の負担が減り、どこに手間が残ったかを把握することで、次の改善につなげられます。

手段ごとに、運用状況を確認する

導入後に確認する項目は、選んだ手段によって異なります。

手段

導入後に確認すること

人材派遣

必要なスキルが業務と合っているか。期待したパフォーマンスが出ているか。
引き継ぎや指示に過度な負担がかかっていないか。

外注

成果物の品質が基準を満たしているか。
確認・修正の時間を含めても社内の負担が減っているか。

ツール導入

現場で使われているか(利用者数・入力件数)。期待した効果が出ているか。
既存システムとの連携に問題がないか。研修やマニュアルの追加が必要な人はいないか。

ツール開発

想定した処理ができているか。例外への対応や保守を続けられる体制があるか。

 

作業が速くなったかだけでなく、成果物の品質と、現場で長期にわたって無理なく使い続けられるかを、定期的に確認しましょう。

効果が出ないときは、原因に応じて見直す

期待した効果が得られない場合は、どこに問題があるかを整理し、原因ごとに解決策を考えます。

必要なスキルが足りない、ツールの機能が業務に合わないといった場合は、人材やツールの選定を見直します。操作や依頼方法が十分に共有されていない場合は、担当者への説明や運用手順を整えます。

一方、例外が多く、確認作業も複雑な業務では、最初に選んだ範囲が広すぎる可能性があります。自動化・外注化する部分を絞るか、別の工程から試すことも検討します。

原因を特定できない場合は、作業の進め方や記録の取り方を改めて確認します。判断に必要なデータが不足しているなら、確認する項目と期間を決めて検証を続けます。

成果を共有し、次の工程へ広げる

効果を確認できたら、うまくいった条件と、運用中に生じた課題を関係者で共有します。そのうえで、業務内容や書式が近い工程から展開先を検討します。

展開先でも同じ効果が得られるとは限らないため、現場や部署ごとの違いを確認しながら進めます。個別業務の改善を積み重ね、データの共有や確認・承認の流れも見直すことで、社内の推進体制を強化しながら、建設DXの取り組みを広げていきましょう。

建設業の業務効率化についてよくある質問

何から始めればよいですか

まずは業務の流れを書き出します。入札・提案、調査・設計・計画、施工・竣工の3つのフェーズに分けて整理すると、業務の抜け漏れに気づきやすくなります。

そのうえで、作業内容・工数・関わる人数・改善のしやすさ・コア業務への影響を確認し、最初に取り組む工程をひとつ選びます。

費用はどう見積もり、何と比較すればよいですか

導入時にかかる費用と、継続してかかる費用を分けて整理します。利用料や外注費に加え、設定、引き継ぎ、教育、確認・修正にかかる社内の工数も含めます。

施工管理アプリの場合、月額料金は無料のプランから数千円、数万円、数十万円のものまで幅があり、初期費用やオプション費用がかかる製品もあります。料金体系も、1ユーザーごとの課金と、一定人数まで定額のものに分かれます。

会社の規模によって、合う選び方は異なります。小規模な会社では、無料プランや定額プランで工程表・写真・チャットなど必要な機能から始め、現場で使われることを確かめるのが現実的です。複数の現場や拠点を抱える会社では、見積・原価・受発注まで一元管理できる製品や、既存の基幹システムとの連携を含めて比較します。

中小企業・小規模事業者であれば、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)を利用できる場合があります。補助率や対象となるツール、申請の時期は公募要領で確認しましょう。

費用に見合う効果があるかは、削減できる作業時間や、専門的な業務に使える時間がどれだけ増えるかを踏まえて判断します。成果物の品質を維持できるかも、あわせて確認しましょう。

現場に新しい操作を覚える時間がない場合はどうすればよいですか

現場での操作がほとんど不要な外注や、必要なスキルを持つ人材の活用を検討します。ツールを導入する場合は、業務を支援しながら操作を教えられる担当者を置く方法もあります。

いずれの場合も、依頼内容の整理や引き継ぎ、成果物の確認は必要です。社内にどの作業が残るかを確かめてから選びましょう。

まとめ|業務を整理し、現場に合った手段を選ぶ

建設業の業務効率化では、まず作業の内容と負担を把握し、改善する工程を決めることが重要です。そのうえで、人材派遣・外注・ツール導入・ツール開発を比較し、必要に応じて組み合わせます。

導入はひとつの工程から始め、作業時間・費用・品質・運用上の負担を確認します。効果を確かめながら対象を広げることで、現場に定着する改善を実現できます。

着手する前に、次の3点を確認しましょう。

  1. 効率化する工程と、現在かかっている時間を把握したか
  2. その工程に合う手段を、現場の制約も含めて比較したか
  3. 試す範囲と、導入後に確認する項目を決めたか

業務の整理や手段の選定に迷う場合は、現場の状況と任せたい作業をまとめたうえで相談すると、検討を進めやすくなります。

参考文献

本文で断定している内容の出典です。公的統計・調査は2026年9月11日、法令は2026年9月28日に原文で確認しています。

統計・調査

法令・制度

  • 時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間:労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第36条第4項(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049)
  • 建設業には2024年4月から時間外労働の上限規制が適用:厚生労働省「建設業従事者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」(https://kensetsu-roudou-jikan.mhlw.go.jp/kensetsu_overtime.html)
  • 建設業務(土木・建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体の作業とその準備作業)は労働者派遣が禁止。派遣先も、派遣労働者をこれらの業務に従事させてはならない:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第4条第1項第2号・同条第3項(https://laws.e-gov.go.jp/law/360AC0000000088)
  • 紹介予定派遣の定義:同法第2条第4号(https://laws.e-gov.go.jp/law/360AC0000000088)
  • 建設工事の請負契約は、相手方の承諾を得れば書面に代えて電子的な方法で締結できる:建設業法(昭和二十四年法律第百号)第19条第3項(https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000100)
  • デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金):デジタル化・AI導入補助金2026 事務局サイト(https://it-shien.smrj.go.jp/about/)

セミナー・サービス実績

  • 入札・提案資料の生成AI活用、点検写真や図面・表計算データのチェックが2〜3日から数十分に、住民説明会の手書きアンケートのデータ化:ヒューマンリソシア社開催のセミナーでの発表内容
  • 議事録作成代行の建設会社からの発注実績250件以上、リピート率ほぼ100%:ヒューマンリソシア社の議事録作成代行サービスの実績(2026年9月時点)

建設業の業務効率化について無料で相談する(https://kensetsu-hr.resocia.jp/contact) 

 


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