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はじめての派遣社員受け入れ、何を準備すべき? 「外国派遣人材受け入れ」もていねいに解説

人材不足という課題を抱えている建設業界。コロナ禍もあって正社員の採用ではなく派遣社員を活用し、人材不足の状況をなんとか改善しようとする企業は多いようです。しかし、これまで派遣社員を受け入れたことがない企業は、受け入れるために何を準備すべきなのか、注意すべき点は何なのかなど「誰に訊けばいいのかも分からない」と悩んでしまい、受け入れに二の足を踏んでいるのではないでしょうか。

この記事では、そんな派遣社員を受け入れる際に準備すべき点を解説します。

派遣社員受け入れの準備

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受け入れた派遣社員がじゅうぶんなパフォーマンスを発揮してもらうためには、派遣社員にとって「働きやすい環境」になっている必要があります。その環境が整っていなければ、派遣社員のモチベーションは下がってしまうため、受け入れる側の準備がきわめて重要です。

派遣社員を受け入れる際は、次の3つの準備を欠かさないようにすべきでしょう。

  1. 関係社員への周知
  2. 窓口を明確化
  3. 必要な物品の準備

関係社員への周知

最も重要なのが、派遣社員を受け入れる目的・日程などを、派遣先部署や関連部署への周知すること。事前に周知徹底しておけば、関連部署との連携や伝達がスムーズにおこなえるようになるでしょう。

また、派遣社員としてもいろいろな社員から「なぜ派遣されたの?」などと聞かれ、そのたびにいちいちくわしい説明をする必要もなくなるため、煩わしい思いをせず、業務に集中できるようになるはずです。

派遣社員受け入れ時には、目的や業務内容はもちろん、業務範囲、契約期間、勤務時間などを文書で共有するようにしてください。契約以外の業務を指示するなどのトラブル防止にもつながります。

窓口を明確化

派遣社員を管理監督する責任者を明確にするのも、派遣社員受け入れ時には重要です。

責任者がはっきりすれば派遣社員が「困ったときには誰に相談をすればよいのか?」が明確になり、業務や人間関係における不安や疑問を相談できるようになります。

仮に契約書にはない仕事を頼まれた場合でも、「責任者に確認してください」と対処できるため、派遣社員が安心して働ける環境を準備できます。これは派遣社員の「心理的安全性」を高めるためには不可欠です。

責任者を明確かつ周知して、派遣社員が安心してパフォーマンスを発揮できるようにしたいものですね。

必要な物品の準備

「環境整備」の一環として、派遣社員がスムーズに業務するために使用する物品を準備しておくことも必要です。IDカードや社員証、業務用パソコン、ソフトウェア、デスク、事務用品などが挙げられます。
これらの物品準備を怠っていれば、派遣社員としても当然不安になるためです。

とりわけBIM/CIMオペレーターなど専門性の高い派遣社員の場合は、必要な物品の一覧表を事前作成して、派遣当日までに確実にチェックしておきたいものです。

初日にすべきこと

派遣社員の派遣初日、すべきことは何か。次の5項目はマストです。

  1. 所属部署や関連部署へのあいさつ
  2. 社内案内
  3. 社内ルールの共有
  4. 業務内容説明や研修
  5. 前任者がいる場合は前任者の引継内容の共有

このような初日のスケジュールをしっかり作成しておくと、派遣社員が「初日にやることがない」といったムダかつ非効率な事態を招くのを防げるはずです。

初日のスケジュールが曖昧だと、派遣社員は派遣先企業に対してよい印象を持てなくなり、本来のパフォーマンスを発揮できないおそれがあります。「お客さん」としてではなく、「社員」として、受け入れ準備は万全にしておきましょう。

派遣社員受け入れ時の注意点

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派遣社員を受け入れる際の注意点には主に次の3つが挙げられます。

  1. 期間制限
  2. 派遣禁止業務
  3. 離職社員の派遣受け入れ

期間制限

「労働者派遣法」によって、派遣社員は派遣として働ける期間が事業所単位と個人単位で定められています。

定められている内容は以下のとおり。

期間制限の単位 内容
個人単位 同じ会社の同部署への派遣は原則3年が上限
事業所単位 同じ事業所において3年を超えると労働者の受け入れ不可

個人単位の期間制限

「個人単位の期間制限」とは、派遣社員が同じ会社の同部署で3年を超えて働けないという制限です。

そのため、3年を経過した派遣社員は、他の派遣先を探さなければなりません。

ただし、次のケースに該当する場合は、例外として期間制限を超えて働けます。このケースに該当する派遣社員は、3年という上限を超えて同じ会社で働いていても問題ありません。

  1. 無期雇用の派遣社員
  2. 60歳以上の派遣社員
  3. 終了日が明確に設定されている有期プロジェクトの業務を行う派遣社員
  4. 出勤日数が通常の社員の半分または10日以下の業務を行う派遣社員
  5. 育児や介護休暇などの欠員を補うために派遣されている派遣社員

事業所単位の期間制限

事業所単位の期間制限とは、「同一の事業所で派遣社員を継続して受け入れている期間が3年を超えてはならない」という制限です。

たとえば、派遣社員であるAさんが2年働いて退職した後、別の派遣社員Bさんを受け入れた場合、Bさんは1年間しか働くことができないのです。

ただし、派遣先に在籍する「労働者の過半数の代表者」から意見を聞き取り、「派遣を継続して受け入れる」と合意した場合は、派遣社員を継続して受け入れられます。

このように、派遣社員を受け入れる場合は「期間制限」を超えないよう注意しなければなりません。

派遣禁止業務

直接的に建設に関わる業務での派遣利用は禁止されています。くわしくはこちらの記事をご確認ください。

⇒関連記事:建設業の派遣社員活用NG業務と「派遣社員を積極活用すべき業務」

派遣受け入れを検討する企業は、派遣社員の活用範囲を所属部署や関連部署に周知徹底することが不可欠です。

離職した社員の派遣受け入れについて

離職した労働者を離職後1年以内に派遣社員として受け入れる。これは労働者派遣法によって明確に禁止されています。

(離職した労働者についての労働者派遣の役務の提供の受入れの禁止)
第40条の9第1項 派遣先は、労働者派遣の役務の提供を受けようとする場合において、当該労働者派遣に係る派遣労働者が当該派遣先を離職した者であるときは、当該離職の日から起算して一年を経過する日までの間は、当該派遣労働者(雇用の機会の確保が特に困難であり、その雇用の継続等を図る必要があると認められる者として厚生労働省令で定める者を除く。)に係る労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律より引用

なぜ禁止されているのかといえば、直接雇用するべき労働者を派遣社員にすることで、労働条件を不当に下げる危険性が潜んでいるからです。

たとえ、短期アルバイトとして、しかも1日だけ雇っていた場合でも、離職後1年間は派遣としての受け入れは不可能です。派遣を受け入れる際は、過去1年以内に勤務履歴がないかをしっかりと確認しておく必要があります。

外国人材の派遣を受け入れる際は?

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派遣社員として、日本人ではなく外国人材を受け入れるケースも増えてきました。外国人材の場合は、派遣先の業務内容が在留資格に含まれているか、また滞在期間や日本語レベルについて確認する必要があります。

外国人材が建設業界で働くためには一般に「技能実習」「特別技能」などの在留資格が必要です。また在留資格によって滞在可能な期間も異なってきます。

業務内容にもよりますが、日本語レベルが高い外国人材ほど業務をスムーズにおこなえるので、高い日本語レベルを有している方が企業にとってはコミュニケーションコストがかからずよいでしょう。

ちなみに、ヒューマンリソシアの海外ITエンジニア派遣サービスは、外国人材派遣なのに滞在期間に制限はなく、在留資格取得も不要です。また日本語コミュニケーションの教育をしっかり受けた人材がやってきます。BIM/CIMなどいわゆるデジタル分野で専門性の高い派遣人材は簡単には見つかりませんが、ヒューマンリソシアの派遣外国人材ならばその願いは叶います。ご承知おきください。

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