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【生産性向上レシピ①】サブコンの雄・新菱冷熱工業の働き方改革とは?

編集部 2021年07月15日

サブコントラクター、略して「サブコン」。大規模建設プロジェクトにおいて、「ゼネコン」ことゼネラル・コントラクターから各種設備工事を請け負う企業です。

設備工事をおこなうサブコンは、建物を生きものにたとえるならば血管や臓器など「中身」の部分を担いますが、皮膚や骨、筋肉にあたる建築部分の工程で遅れが生じた場合に、工期に間に合わせるために時間的なしわ寄せを受けやすくもあります。長時間労働が常態化している建設業界において、サブコン各社はなかなかそれを解決できずにいました。

そんな中、サブコン大手・新菱冷熱工業が、積極的な働き方改革に乗り出しているのをご存知でしょうか?

記事初出:『建設転職ナビ』2021年1月19日

 

サブコン業界大手の威信を賭けたプロジェクト

地域冷暖房国内シェアナンバーワンであり、一般には東京ディズニーランド®・東京ディズニーシー®のオフィシャルスポンサーとしても知られ、64期連続黒字と安定経営を誇る同社。

01-1東京スカイツリー®地域の地域冷暖房も手がけている新菱冷熱工業

しかし昨今の建設業界の人材不足に際し、「このままでは近い将来、社会の変化に対応していけなくなる」と危機感を持ち、省力化や社員のワーク・ライフバランス確立は不可避と判断したのです。

そこで2016年から「働き方さわやかProject」をスタートしました。支援するのは小室淑恵氏率いるワーク・ライフバランス社。同社は、おなじように長時間労働の慢性化に苦しんでいた建設コンサルタント、パシフィックコンサルタンツの残業を5%削減させながら、利益を倍増させた実績を持つコンサルティング会社です。

※ワーク・ライフバランス社についてはこちらの記事もごらんください
「働き方改革はコミュニケーション改善から」小室淑恵氏が建設業界に望むこと

各部門横断プロジェクトチームを立ち上げ、全社挙げた取り組み

まず施工現場を含む技術・設計・営業・管理部門による「働き方見直しトライアルチーム」が結成されました。彼らは業務効率化と生産性向上のために何ができるかを協議し、ベテラン・若手間のコミュニケーション改善やICTツール導入・活用、見える化・電子化・共有化による業務効率化などの取り組みを実施。ウェアラブルカメラ活用によってベテランの技術伝承や施工品質向上を図るなどの試みもはじまりました。また2016年にはノー残業デーを週1回設定しています。

2018年には経営陣による「さわG」こと「さわやかGeneral Manager」を立ち上げています。これまでの活動や社員の声から洗い出した課題を経営視点で整理し、業務プロセス改革案立案や規程改定などを検討。全社への水平展開に向けて、働き方改革のブーストがかかりました。

実はこの年、見逃せない動きがありました。新菱冷熱工業は現場の省力化・効率化を目的とした「施工図面描画ロボット」の開発を明らかにしたのです。

02-1施工図面描画ロボットが描画した床面(写真/新菱冷熱工業)

取り込んだBIMデータを其のとおりに現場の床面に描画してくれるこのロボット、これまで手作業で行っていた墨出し作業が不要になるどころか、オペレーターの監視さえも不要になるという触れ込みで、このような完全自動ロボット開発はなんと建設業界初。同社の省力化に対する本気度が窺い知れます。2020年に予定されている本格展開がなんとも楽しみです。

取り組み開始から3年目で目に見える成果が

さて、3年目を迎えた2019年には、国内の全事業部・支社へと活動が広がり、当初の7チームから100以上のチームになっていました。その結果、どうなったか――。建設業界が好況に沸き工事量が増加する中でも、残業時間は3年で8%削減、有給休暇取得率は72%に向上。2016年に設けたノー残業デーは延べ229か所のモデル現場において実施率90%を達成するほどに……。

また働く女性が介護や出産・育児と仕事を両立できるように「配偶者帯同転勤制度」や「カムバック制度」「担当職制度」「アニバーサリー休暇制度」を導入。さらに「年次有給休暇の半日単位取得制度」や施工職を対象とした現場竣工等の節目に連続休暇を取得できる「プロジェクト休暇制度」など、業務量の変動幅が大きい建設業ならではの休暇制度も採り入れています。これらは本社所在地の新宿区から評価され、2019年に「子育て支援」「働きやすい職場づくり」2分野の推進企業として認定されるに至りました。

コロナ禍はチャンス、改革の手をゆるめず

2020年に入って全世界を襲ったコロナ禍においても、新菱冷熱工業は働き方改革の手をゆるめません。2021年末までに社内承認手続きの電子化を進めてハンコレスとすることや、ペーパーレス化に向けて取り組むことを宣言するなど、業務のデジタル化を進めています。

ちょうど2020年7月に、新菱冷熱工業はコモレ四谷のオフィス棟・四谷タワーへの本社移転を予定していました。同社はこれを機に、同じ四谷界隈にある旧本社ビルや周辺ビルにオフィス機能を分散。結果、社員一人あたりの平均パーソナルスペースは従来のおよそ1.3倍へと広がりました。

03-12020年に竣工したばかりのコモレ四谷・四谷タワー5階に本社を構える

さらにサウンドマスキングの整備でオンライン会議にスムーズに対応できるようにしたり、フリーアドレスを導入したり……そう、社員の新型コロナウイルス感染リスク軽減のためです。すでにマルチディスプレイを導入しており、ペーパーレス環境でも支障なく技術資料を見られるように環境を整備していたのも功を奏したといえるでしょう。

※空調音のような背景音をわざと流して、隣室で話されている会話内容や、隣の席や周囲の音を聞こえにくく(マスク)します。オフィス内のセキュリティ向上や、雑音による生産性の阻害を防ぐことができます。(コクヨウェブサイトより引用)

さらに注目すべきは、新菱冷熱工業だけでなく、グループ企業の新菱テクニカルサービスや城口研究所などグループ企業にも施策を展開していること。ともすれば親会社のしわ寄せが行きがちなグループ会社でも社員のワーク・ライフバランスを確立させるため、2020年7月から各社でチームが活動を開始しています。

そうした継続的な取り組みと地域貢献活動が評価され、2021年2月、新宿区「ワーク・ライフ・バランス推進企業認定制度」における、令和2年度の「ワーク・ライフ・“ベスト”バランス賞」に表彰されました。

2019年4月の働き方改革関連法施行を受け、2024年には建設業界へも時間外労働上限規制が適用されますが、「それでは遅い!」と先駆けて取り組みをおこなう新菱冷熱工業。「さわやかな世界」をつくると謳う新菱冷熱工業が、業界にもさわやかな風を取り入れてくれるはず。

あなたの会社がワーク・ライフバランスと生産性向上の両立を目指しているのなら、注目していただきたい企業です。

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