日本武道館をめぐる大人気連載。第4回はいよいよこの名建築の真髄に迫ります!(編集部)
記事初出:『建設の匠』2019年7月31日
みなさまこんにちは。漫画エッセイストのY田Y子です。
*漫画エッセイ『人はなぜ日本武道館をめざすのか』。前回の最後に「次の第4話では、日本武道館の造形にこめられている“武道の心”とは何なのかを語ってみたい」と書きました。
四苦八苦しながら調べていると、紆余曲折を経て、なんと公益財団法人 日本武道館の三藤常任理事からじきじきにレクチャーいただく機会に恵まれました(普通はなかなか面談などできない、組織のお忙しい上層部の方です。設計者の孫、ラッキーすぎる!(泣))。
三藤常任理事は、映画の原作になった『山下柔道物語』などの著作もある素敵な方で、豊富な知識を大変わかりやすく語っていただくことができました。この時いただいた貴重なエピソードは、とても一度では書ききれない! 誰かに言いそうになるのを口にチャックし(死語)、また別の回で描ける日まで大切に胸に秘めておきたいと思います。三藤常任理事、ご同席頂いた石川施設課長、貴重なお時間をありがとうございました。
*『桐島、部活やめるんだってよ』『何者』などで有名な若手小説家・朝井リョウさんの『武道館』という作品に触れてみましたが……。朝井リョウさんのプロフィールをなにげなく見てみると、なんと! 山田守も12~18歳の多感な時期を過ごした『岐阜県大垣中学=現・大垣北高校』のご出身でびっくり!
第3話の3ページ目で「山田守のデザインの原点は、故郷の岐阜の大自然~」と描いておいたのですが、祖父はまさにこの大垣中学で絵にめざめ、広大な平野を絵で描いていました。それが日本人としては珍しい巨大な建築設計が得意な建築家の素地となった(と思われます)。その意味で、とても大切な場所なのです。(山田守評伝漫画『50年めの大きな玉ねぎ』にもこのあたりから大垣中学での出来事を書いています)
私が2年前に大垣北高校に取材に行った時、大垣北高校の先生方は山田守が卒業生だと知りませんでした。したがって朝井リョウさんも、日本武道館の設計者が高校の先輩だとは知らず、この小説を書かれたのだと思われます。しかし彼へのインタビューなどを読むと、この高校での体験が小説のヒントになることが多いそう。時を超えた大垣ー武道館つながりの縁が面白いなあと思い、今回、漫画にも描かせていただきました。
*2度目の東京オリンピックまでいよいよ1年を切りましたが、日本武道館にも『中道場』と呼ばれる増築棟が完成しました。
Y子もこちらの完成時の内覧会に参加させていただきましたが……素敵な心配りがいっぱいの素晴らしい建物でした!
こちらも、どんなに良かったのか早く語りたくて、口にチャックをするのが大変です! またレポできる日が来たら、熱く語らせていただけたら……。次の更新は8月末予定です。夏本番の暑さにくれぐれもお気をつけください!
では今月もお付き合いありがとうございました。また来月お会いできますように!
※今回から表紙が平成版になりました!
平成元年1月2日に私はイカ天バンドの武道館ライブに行っていたので、このイラストにしてみました。
ちなみに何というバンドが演ってるところか分かりますか?(バンドの事務所には承諾済みです)
また、表紙は令和バージョンまであるので、お楽しみに!