さて、そもそも「DX推進人材」とはどんなことができる人材なのでしょうか。前述のIPAは7つの職種を定義しています。
出典:IPA「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査」より引用
プロダクトマネージャー、ビジネスデザイナー
まずは、ビジネス視点でDXを推進する先導者層です。
「プロダクトマネージャー」は、DXやデジタルビジネスの実現するリーダー。顧客や事業部門、関係会社などと良好な関係を維持したうえで、新しいデジタル技術を使用したビジネスの創造や事業化、組織変革のかじ取りなどを求められます。
建設業界においては、たとえばAIを駆使して自動化施工が可能になった際、その技術を建設現場で活用するための必要な予算や人の管理、安全性の確認などを差配、管理する役割を果たすことになるでしょう。
また「ビジネスデザイナー」はデジタル技術を駆使してビジネスの企画や立案を行う人材です。DXやデジタルビジネス(マーケティング含む)の企画・立案・推進等を担う人材ですが、プロダクトマネージャーと比較するとややビジネス寄りといえます。
彼らは当然のことながら、自社ビジネスやDXの礎となるデジタル技術についても精通していなければならないため、確保が難しい人材の代表格でもあります。社外から招聘することは難しく、社内から登用するカタチが多いようです。
テックリード(エンジニアリングマネージャー、アーキテクト)、データサイエンティスト
「テックリード」とは、DXやデジタルビジネスに関するシステムの設計から実装ができる人材。「データサイエンティスト」は、デジタル技術の中でもAIやIoTの技術に精通した人材です。ビッグデータから情報を収集し、データ解析・分析ができる人材を指しています。
彼らの役割としては、前者はビジネスデザイナーが提案した企画を実行するため、必要なデジタル上の課題を洗い出しその課題を解決できるシステム構築をすること、後者はビックデータやAIの活用方法の提案、IoT技術を実際に活用できるように構築する役割です。
建設業界においては、AIを活用して過去の膨大なデータを社員がいつでも簡単に検索・確認できるようなシステムの設計・構築をおこなったり、AIを搭載した建設機械の開発をおこないます。
なにより問われるのは情報処理力や統計力。そして、それをビジネスに活用しようとするプレゼンテーション・コミュニケーションスキルが必要です。
AIエンジニア、UX/UIデザイナー、エンジニア/プログラマ
これまで紹介したDX推進人材の指揮の下で、システム設計・構築・保守などをおこなう実働部隊も必要になります。
機械学習、ブロックチェーンなどの先進的なデジタル技術を担うのが「AIエンジニア」、DXやデジタルビジネスに関するシステムのユーザー向けデザインを担当する「UX/UIデザイナー」、そして「エンジニア/プログラマ」がシステムの実装やインフラ構築・保守等を担う人材です。
機械学習や深層学習(いわゆるディープラーニング)などでシステムを構築したり、その構築されたシステムをユーザーが使いやすいようにデザインしたり、システムが実際のハードな使用に耐えうるようにプログラミングしたり……。彼らの尽力なくして、DXは成り立たないと言っても過言ではないでしょう。