大手ゼネコン4社の中で清水建設と大成建設は二桁の増収増益となりました。一方、鹿島建設は純利益が前年同四半期比10.9%減、大林組が同8.2%減となりました。鹿島建設は海外事業の利益の落ち込み、大林組は不採算の大型プロジェクトをはじめ、足元で進捗する建築工事の採算性の低下をそれぞれ減益の要因としています。主要10社合計では売上高が前年同四半期比8.4%増、純利益が2.2%増と堅調な決算となりました(図表①)。
【図表① 総合工事業上場主要10社の2023年3月期第1四半期決算(連結)の実績】
日本道路の最終損益が4億7,500万円の赤字、東亜道路工業が同7億300万円の赤字、世紀東急工業が同1億7,800万円の赤字となりました。さらに、東亜道路工業の純利益が45.2%減となるなど、原材料価格の高騰を背景に、道路舗装工事を主体とする企業の収益性が大幅に落ち込みました。主要10社合計では売上高が前年同四半期比0.4%増、純利益50.3%減と収益面で厳しい決算となりました(図表②)。
【図表② 土木工事業上場主要10社の2023年3月期第1四半期(連結)の実績】
エクシオグループの純利益が前年同四半期比47.3%減、コムシスホールディングスが同54.6%減、ミライト・ワンの最終損益が8億1,500万円の赤字となり、通信設備工事を主とする大手3社の収益性が大幅に悪化しました。主要10社合計では売上高が前年同四半期比1.0%減、純利益が同48.9%減となり、収益面で厳しい決算となりました(図表③)。
【図表③ 電気・電気通信設備工事業上場主要10社の2023年3月期第1四半期(連結)の実績】
業界トップの高砂熱学工業は純利益が4億8,100万円の赤字、大気社は純利益が前年同四半期比90.9%減となり、大幅に収益性が落ち込みました。一方、ダイダンは純利益が前年同四半期比71.9%増、テクノ菱和が同30.6%増と収益性が向上しています。10社合計では売上高が前年同四半期比7.2%増、純利益が67.1%減となり、収益面で厳しい決算となっています(図表④)。
【図表④ 管⼯事業上場主要 10 社の2023年3月期第1四半期(連結)の実績】
前年同四半期に特別損失を計上したことにより大幅な赤字を計上していた日揮ホールディングスと千代田化工建設が黒字転換しました。10社中9社が増益(黒字化、赤字幅縮小を含む)となり、主要10社合計では売上高が前年同四半期比4.1%増、純利益は黒字転換して259億400万円の黒字となっており、好調な決算結果となりました(図表⑤)。
【図表⑤ プラント・エンジニアリング業上場主要10社の2023年3月期第1四半期(連結)の実績】
大和ハウスの純利益が前年同四半期比5.3%減、飯田グループホールディングスが同14.9%と減益になりましたが、他の8社は増益(黒字化含む)となっています。主要10社合計では売上高が前年同四半期比10.3%増、純利益が同23.5%増と、二桁の増収増益と好調な決算結果になっています(図表⑥)。
【図表⑥ 住宅・不動産業上場主要 10 社の 2023年3月期第1四半期(連結)の実績】