調査レポート|建設HR

建設業関連6業種における2022年3月期第3四半期決算のまとめ

作成者: 編集部|2022年03月17日

本レポートのポイント
・6業種すべてが増収となる一方、純利益は4業種が減益になり、6業種合計では、増収減益に
・総合工事業と土木工事業は営業利益、経常利益、純利益が前年同期比二桁減で収益性の低下が顕著
・管工事業と住宅・不動産業の主要10社合計は、増収増益と好調 ホワイトペーパーダウンロード

 

<総合工事業>
収益性は第2四半期より若干改善

大手ゼネコン4社(鹿島建設、大林組、大成建設、清水建設)は、4社ともに営業利益、経常利益、純利益の前年同四半期比が改善しており、鹿島建設の純利益は第2四半期の前年同四半期比3.8%減から同6.4%増と増益に転じています(図表①)。
前年同四半期比を公表していないインフロニア・ホールディングスを除く9社合計では、売上高は前年同四半期比3.4%増(第2四半期は2.5%増)、営業利益32.8%減(同42.7%減)、経常利益27.8%減(同39.3%減)、純利益25.6%減(同36.3%減)となり、いずれも第2四半期よりも改善しています。

【図表① 総合工事業上場主要10社の2022年3月期第3四半期決算(連結)の実績】
出所:各社の決算短信より作成※インフロニア・ホールディングスは前年同期の数値を公表していないため、合計は同社を除いた9社の合計値を記載しています。

 

<22年3月期業績予想>
鹿島建設が売上高を300億円、純利益を90億円上方修正

総合工事業の通期業績予想では、鹿島建設が売上高2兆800億円(前回予想より+300億円)、営業利益1,175億円(同+80億円)、経常利益1,440億円(同+240億円)、純利益950億円(同+90億円)と上方修正しています(図表②)。上方修正の要因としては米国およびヨーロッパの建設事業、開発事業が好調であることを挙げています。
一方、五洋建設は売上高4600億円(同▲310億円)、営業利益180億円(同▲110億円)、経常利益170億円(同▲115億円)、純利益115億円(同▲85億円)に下方修正しています。下方修正の要因としては、受注高が期首の予想を下回ったこと及びシンガポールの大型土木工事で約50億円の工事損失を計上したことを挙げています。
増収増益予想は長谷工コーポレーションと熊谷組の2社となっています。
前年比を公表していないインフロニア・ホールディングスを除く9社合計では、売上高は前期比増減率7.0%増ですが純利益は29.6%減と、増収ではあるが大幅な減益の予想になっています。

【図表② 総合工事業上場主要10社の2022年3月期(連結)の業績予想】
出所:各社の決算短信より作成※インフロニア・ホールディングスは前年同期比を公表していないために、合計においては同社を除いた9社の合計値を記載しています
※前回見込みから修正があった個所は青字で表記しています

 

<⼟⽊⼯事業>
材料価格の上昇等により収益性は厳しい状況が続く

道路舗装工事を主力とするNIPPO、日本道路、世紀東急工業の3社が大幅な減益となっています(図表③)。3社ともに営業利益が前年同四半期を大幅に下回っており、その要因としては原油価格高騰による材料価格の上昇が挙げられています。増収増益となったのは東亜建設工業のみでした。
10社合計では売上高は前年同四半期比0.2%増であり、第2四半期の1.6%増よりも増加率は低下しました。営業利益18.7%減(第2四半期は19.1%減)、経常利益18.7%減(同20.8%減)、純利益19.2%減(同19.4%減)となり利益面では第2四半期よりも若干改善していますが、依然として厳しい状況です。

【図表③ 土木工事業上場主要10社の2022年3月期第3四半期(連結)の実績】
出所:各社の決算短信より作成※第2四半期まで記載していた前田道路がインフロニア・ホールディングスの子会社となったため、同じく道路舗装工事を主力とする世紀東急工業を主要10社に加えました
※川田テクノロジーズは2022年3月期の期首より「収益認識に関する会計基準」を適用することを理由に、決算短信では前年同四半期増減率は記載されていません(10社合計では川田テクノロジーズも含めて前年同四半期増減率を算出しています)

 

<22年3月期業績予想>
3社が純利益を上方修正

東亜建設工業、ピーエス三菱、川田テクノロジーズ、世紀東急工業の4社が通期業績予想を修正しています。
東亜建設工業は営業利益99億円(前回予想より+9億円)、経常利益98億円(同+11億円)、純利益72億円(同+12億円)と利益を上方修正しました(図表④)。
ピーエス三菱は売上高については1,051億円(同▲46億円)と下方修正しましたが、営業利益66億円(同+17億円)、経常利益66億円(同+18億円)、純利益43億円(同+9億円)と利益は上方修正しました。
川田テクノロジーズは営業利益50億円(同+10億円)、経常利益59億円(同+16億円)、純利益39億円(同+12億円)と利益を上方修正しました。
一方、世紀東急工業は売上高868億円(同▲18億円)、営業利益46億円(同▲3億円)、経常利益45億円(同▲3億円)と下方修正しました。
10社合計では売上高が前期比2.1%増(修正前は、純利益が前期比15.9%減で総合工事業と同じく増収減益の予想ではありますが、減益幅は小さくなっています。

【図表④ ⼟⽊⼯事業上場主要10社の2022年3⽉期(連結)の業績予想】
出所:各社の決算短信より作成※第2四半期まで記載していた前田道路がインフロニア・ホールディングスの子会社となったため、同じく道路舗装工事を主力とする世紀東急工業を主要10社に加えました
※川田テクノロジーズは2022年3月期の期首より「収益認識に関する会計基準」を適用することを理由に、業績予想では前期比増減は記載されていません(10社合計では川田テクノロジーズも含めて前年同期比増減率を算出しています)
※前回見込みから修正があった個所は青字で表記しています

 

<電気・電気通信設備⼯事業>
大手3社の利益増加率が低下し、10社合計で減益に転じる

第2四半期の好決算をけん引した電気通信設備工事の大手のエクシオグループ、コムシスホールディングス、ミライトホールディングスの3社は増収増益であったが、純利益の前年同四半期比はエクシオグループが29.3%増(第2四半期49.8%増)コムシスホイールディングス13.5%増(同38.5%増)、ミライトホールディングスは9.7%増(同62.7%増)となり、増益幅は縮小しています。
主要10社合計をみると、売上高は前年同四半期比2.1%増(第2四半期は2.3%増)、営業利益は同1.7%増(同9.9%増)、経常利益は同2.1%増(同9.2%増)、純利益は同1.1%減(同10.0%増)となり、電気通信設備大手3社の利益縮小による影響から減益に転じました。

【図表⑤ 電気・電気通信設備工事業上場主要10社の2022年3月期第3四半期(連結)の実績】
出所:各社の決算短信より作成

 

<22年3月期業績予想>
10社中8社は業績予想に修正なく、業績予想はほぼ変化なし

電気通信設備工事業の通期業績予想では、ユアテックが売上高2,250億円(前回予想より+50億円)、営業利益90億円(同+4億円)、経常利益94億円(同+4億円)、純利益62億円(同+6億円)と上方修正、また、中電工が営業利益を95億円(同▲2億円)と下方修正しました。他の8社については業績予想の修正はなく、10社合計では、売上高が前期比0.15%増(修正前は0.02%増)、純利益が7.9%減(同8.2%減)となり、ほぼ変化していません(図表⑥)。

【図表⑥ 電気・通信設備⼯事業上場主要10社の 2022 年3⽉期(連結)の業績予想】
出所:各社の決算短信より作成※関電工は2022年3月期の期首より「収益認識に関する会計基準」を適用することを理由に、通期業績予想の売上高の前期比増減率は記載されていません
※10社合計では関電工も含めて前期比増減率を算出しています
※前回見込みから修正があった個所は青字で表記しています

 

<管⼯事業>
主要10社合計で増収増益の好調な決算となる

業界トップの高砂熱学工業が増益に転じて、増益企業が第2四半期の5社から6社に増えました。また、大気社は純利益が前年同四半期比3.5%減(第2四半期は45.1%減)となり、大幅に収益性が改善されました。
主要10社合計では、売上高が前年同四半期比3.3%増(第二四半期は1.8%増)、営業利益は同14.8%増(同0.04%減)、経常利益は15.4%増(同2.7%増)、純利益は8.6%増(同8.0%減)となっており、売上、利益ともに改善し、業種全体で増収増益の好調な決算となっています(図表⑦)。

【図表⑦ 管⼯事業上場主要 10 社の2022年3月期第3四半期(連結)の実績】
出所:各社の決算短信より作成

 

<22年3月期業績予想>
ダイダンが下方修正、日比谷総合設備と朝日工業社は上方修正、10社合計の純利益は増加

管工事業の通期業績予想は、ダイダンが売上高1,620億円(前回予想より▲60億円)、営業利益70億円(同▲5億円)、経常利益72億円(同▲5億円)、純利益50億円(同▲2億円)と、売上、利益ともに下方修正しました、一方、日比谷総合設備は営業利益50億円(同+5億円)、経常利益55億円(同+5億円)、純利益40億円(同+5億円)と上方修正し、朝日工業社も純利益を15億5,000万円(同+2億円)と純利益のみ上方修正しました。
その結果、10社合計の業績予想は売上高前期比4.4%増(修正前は4.9%増)、営業利益2.1%減(同2.1%減)、経常利益3.2%減(同3.2%減)、純利益3.7%減(同4.8%減)となり、純利益が増加しました。

【図表⑧ 管⼯事業上場主要 10 社の 2022 年3⽉期(連結)の業績予想】
出所:各社の決算短信より作成※前回見込みから修正があった個所は青字で表記しています

<プラント・エンジニアリング業>
10社合計の減益幅は第2四半期よりも縮小

日揮と千代田化工建設の2社は第2四半期に多額の特別損失(日揮582億円、千代田化工建設203億円)を計上した影響から、第3四半期についても大幅な赤字決算が続いていますが赤字額は減少しています(図表⑨)。レイズネクストは、第2四半期は増収増益でしたが第3四半期は減収減益に転じました。メタウォーターは赤字幅が拡大しています。主要10社合計では売上高が前年同四半期比0.1%増(第2四半期は2.5%増)、営業利益が同6.1%減(同1.4%増)、経常利益が同1.4%減(同1.1%増)、純利益が同158.6%減(同245.9%減)となり、第2四半期よりも減益幅が縮小しました。

【図表⑨ プラント・エンジニアリング業上場主要10社の2022年3月期第3四半期(連結)の実績】
出所:各社の決算短信より作成

 

<22年3月期業績予想>
栗田工業が上方修正、タクマが下方修正、10社合計ではほぼ前回予想通り

プラント・エンジニアリング業の通期業績予想は、栗田工業が売上高2,910億円(前回予想より+20億円)、営業利益340億円(同+20億円)、経常利益292億円(同+11億円)に上方修正しました。一方、タクマが売上高1,350億円(同▲20億円)、営業利益97億円(同▲7億円)、経常利益103億円(同7億円)、純利益73億円(同▲3億円)と下方修正しています。
10社合計では、売上高が前期比4.5%増(第2四半期も同じ)、営業利益が同0.3%減(同1.4%減)、経常利益が同4.6%減(同5.0%減)、純利益は▲53億円(同▲50億円)となり、ほぼ前回予想通りになっています。

【図表⑩ プラント・エンジニアリング上場主要10社の2022年3⽉期(連結)の業績予想】
出所:各社の決算短信より作成※前回見込みから修正があった個所は青字で表記しています

 

<住宅・不動産業>
7社が増益、10社合計で売上高と純利益が前期比増の好調な決算

第2四半期は減収減益であった住友不動産が増収増益に転じ、営業利益、経常利益、純利益のすべてで過去最高を更新しました(図表⑪)。業界トップの大和ハウス工業は第2四半期に続いて増収増益でした。純利益をみると、三井不動産が前年同四半期比24.9%増、大東建託が同12.7%増、飯田グループホールディングが同41.7%増と二桁の増加率となっています。積水化学工業の純利益が前年同四半期比38.4%減となっていますが、これは第2四半期に米国の連結子会社について減損損失を計上した影響によるものであり、営業利益は前年同四半期比44.1%、経常利益は同85.6%と大幅な増益となっています。
主要10社合計は、売上高が前期比3.6%増(第2四半期は6.0%増)、営業利益が同10.7%増(同21.3%増)、経常利益が同11.4%増(同23.9%増)、純利益が同9.5%増(同32.8%)となっており、第二四半期よりも増収幅、増益幅は縮小しましたが、依然として増収増益の好調な決算となっています。

【図表⑪ 住宅・不動産業上場主要 10 社の 2022年3月期第3四半期(連結)の実績】
出所:各社の決算短信より作成

 

<住宅・不動産業の通期業績予想>
10社合計で売上高は前年比5.5%、純利益は同8.2%増の業績予想

住宅・不動産業の通期業績予想は4社が上方修正しています(図表⑫)。三井不動産は営業利益を2,400億円(前回予想より+100億円)、経常利益を2,150億円(同+100億円)、純利益を1,750億円(同+150億円)に上方修正しました。三菱地所は売上高を1兆3,610億円(前回予想より+350億円)、営業利益を2800億円(同+350億円)、経常利益を2540億円(同+340億円)、純利益を1,550億円(同+130億円)に上方修正しました。野村不動産ホールディングスは営業利益を860億円(同+40億円)、経常利益を770億円(同+30億円)、純利益を510億円(同+15億円)に上方修正しました。積水化学工業は売上高を1兆1,641億円(同+86億円)に上方修正しています。
この結果、10社合計では、売上高が前年同期比5.8%増(修正前は5.5%増)、営業利益が同7.7%増(同4.2%増)、経常利益が同9.9%増(同6.3%増)、純利益が11.7%増(同8.2%増)と、更なる増収増益の予想となりました。

【図表⑫ 住宅・不動産業上場主要10社の2022年3⽉期(連結)の業績予想】
出所:各社の決算短信より作成※タカラレーベンは2022年3月期の期首より「収益認識に関する会計基準」を適用することを理由に、決算短信では第2四半期実績の前年同四半期増減率、通期業績予想の前期比増減率は記載されていません
※10社合計ではタカラレーベンも含めて前年同四半期増減率、前期比増減率を算出しています
※前回見込みから修正があった個所は青字で表記しています

 

<本レポートのまとめ>
建設業関連6業種、売上高は増収になるも、収益性は低下

主要10社合計の第3四半期の決算実績をみると、6業種すべてで売上高は前年同四半期を上回るなど好調ですが、営業利益では総合工事業が同32.8%減、土木工事業が同18.7%減、プラント・エンジニアリング業が同6.1%減となっており、本業における収益性は低下しています(図表⑬)。

6業種合計では売上高は前年同四半期を3.0%増となっていますが、営業利益では3.0%減となっており、建設用関連業種全体では売上高は順調に確保できているが本業の収益性は低下しているといえます。特に、総合工事業と土木工事業は営業利益、経常利益、純利益のすべてが前年同四半期を二桁下回るなど収益性の低下が顕著であり、収益性の回復が喫緊の課題だと考えられます。

一方、管工事業と住宅・不動産業は増収増益の好調な決算となっています。

【図表⑬ 各業種上場主要10社の実績合計】
※総合工事業は前年実績を公開していないインフロニア・ホールディングスを除く主要9社の合計

2022年3月期の通期業績予想については、今回の決算で10社が純利益を上方修正するなど、上方修正が相次いだため、純利益の前期比増減率は修正前の10.3%減から8.4%減に減少率が低下しており、収益性回復に向けて若干ではありますが前進していると考えられます(図表⑭)。ただし、業種別では総合工事業の純利益の前期比増減率は従来予想の27.9%減から29.6%減に拡大、プラント・エンジニアリング業の純利益は赤字転落となっており、この2業種では収益性の改善が来期に向けての大きな課題になると考えられます。

【図表⑭ 各業種上場主要10社の2022年3月期の業績予想の合計(修正前)】

【図表⑮ 各業種上場主要10社の2022年3月期の業績予想の合計(修正後)】

※総合工事業は前年実績を公開していないインフロニア・ホールディングスを除く主要9社の合計

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