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独自分析

建設業関連6業種における2022年3月期第1四半期決算のまとめ

編集部 2021年08月31日

本レポートのポイント
・6業種別主要上場企業各10社の2022年3月期第1四半期決算から見る建設市場動向をまとめた
・6業種中5業種で売上高は前期比でプラスとなるも、3業種で純利益が前年割れとなる
・2022年3月期通期予想では6業種中5業種が純利益で前期割れを予想、収益性の悪化が懸念される ホワイトペーパーダウンロード

 

<総合工事業>
6社が増収、主要10社合計で売上高は
前年同四半期比3.8%増となるも純利益は27.3%減で
収益性は大幅に悪化

増収増益2社、増収減益4社、減収減益4社となりました(図表①)。大手ゼネコン4社(鹿島建設、大林組、清水建設、大成建設)はいずれも増収ながら大幅な減益になっています。10社合計でみると、売上高は前年同四半期比3.8%増、営業利益は同33.5%減、経常利益は同29.8%減、純利益は同27.3%減となっており、売上高は確保するも収益性は前年同四半期よりも大幅に悪化しています。

【図表① 総合工事業主要10社の2022年3月期第1四半期決算(連結)の実績】
01-3出所:各社の決算短信より作成

 

<22年3月期業績予想>

10社すべてが増収となっていますが、純利益については6社が減益としています(図表②)。10社合計では売上高が前期比6.2%増、営業利益は同16.2%減、経常利益は同17.6%減、純利益は同18.5%減と二桁の減少となっており、業界全体としての収益性は大幅に悪化すると予想されています。

【図表② 総合工事業主要10社の2022年3月期(連結)の業績予想】
01b※「収益認識に関する会計基準」などを適用するため業績予想の対前期増減率を公表していない三井住友建設についても単純計算で対前期増減率を記載している

 

<⼟⽊⼯事業>
10社合計で売上高は前年同四半期を2.5%上回るも
純利益は41.6%減となり、道路舗装工事業を中心に
収益性は大幅に悪化

増収増益4社、増収減益2社、減収減益3社となりました(図表③)。道路舗装工事業のNIPPO、前田道路、日本道路の3社が大幅な減益となっています。10社合計では売上高は前年同四半期比2.5%増と増収ですが、営業利益は同40.8%減、経常利益は同38.5%減、純利益は同41.6%減と収益性は大幅に悪化しています。

【図表③ ⼟⽊⼯事業主要 10 社の 2022年3月期第1四半期(連結)の実績】
02-3出所:各社の決算短信より作成

 

<22年3月期業績予想>

売上高については6社が増加すると予想していますが、純利益は9社が減益と予想しています(図表④)。10社合計では売上高は前期比2.9%の増加ですが、営業利益は同15.0%減、経常利益は同17.0%減、純利益は同21.0%減と大幅な減益予想となっています。

【図表④ ⼟⽊⼯事業主要10社の2022年3⽉期(連結)の業績予想】
02b※川田テクノロジーズは2022年3月期の期首より「収益認識に関する会計基準」を適用することを理由に、決算短信では第1四半期実績の前年同四半期増減率、通期業績予想の前期比増減率は記載されていません。
※10社合計では川田テクノロジーズも含めて前年同四半期増減率、前期比増減率を算出しています。

 

<電気・電気通信設備⼯事業>
電気通信工事業の大手3社の好業績が
全体を底上げして増収増益の好調な決算となる

増収増益3社、増収減益4社(増収赤字幅縮小を含む)、減収増益1社、減収減益1社となっています。協和エクシオ、コムシスホールディングス、ミライトホールディングスの電気通信設備工事大手の3社が大幅な増益になっています。10社合計をみると、売上高は前年同四半期比4.1%増、営業利益は同40.4%増、経常利益は同29.2%増、純利益は同28.4%となっており、電気通信設備工事業3社の大幅な増益が全体の収益性を押し上げて増収増益の好調な決算となっています。

【図表⑤ 電気・電気通信設備工事業主要10社の2022年3月期第1四半期(連結)の実績】
03-1出所:各社の決算短信より作成

 

<22年3月期業績予想>

売上高については6社が増収と予想していますが、純利益は8社が減益と予想しています。第1四半期は大幅な増収増益となった電気通信設備工事業3社も減益予想となっています。10社合計をみると、売上高は前期比0.2%減、営業利益は4.9%減、経常利益は5.5%減、純利益は9.0%減となっており、売上高はかろうじて前期並みを確保するが収益性は悪化すると予想されています。

【図表⑥ 電気・通信設備⼯事業主要10社の 2022 年3⽉期(連結)の業績予想】
03b※関電工は2022年3月期の期首より「収益認識に関する会計基準」を適用することを理由に、決算短信では第1四半期実績の売上高の前年同四半期増減率、通期業績予想の売上高の前期比増減率は記載されていません。
※10社合計では関電工も含めて前年同四半期増減率、前期比増減率を算出しています。

 

<管⼯事業>
主要10社合計で売上高は前年同四半期比0.8%減、
純利益は7.2%増の堅調な決算

増収増益4社(増収赤字幅縮小を含む)、増収減益2社、減収増益1社、減収減益3社(減収赤字幅拡大を含む)と、各社各様の決算結果となっています(図表⑦)。10社合計でみると、売上高が前年同四半期比0.8%減、営業利益は同27.0%増、経常利益は同37.2%増、純利益は7.2%増となっており、売上高は微減ながら収益性は改善した堅調な決算結果になっています。

【図表⑦ 管⼯事業主要 10 社の2022年3月期第1四半期(連結)の実績】
07出所:各社の決算短信より作成

 

<22年3月期業績予想>

売上高については9社が増加としていますが、純利益は6社が減益と予想しています(図表⑧)。10社合計では売上高は前期比6.5%の増加、営業利益は同3.4%増、経常利益は同1.5%増、純利益は同0.6%減となっており、売上高を伸ばし収益性もほぼ維持して堅調な業績になると予想されています。

【図表⑧ 管⼯事業主要 10 社の 2022 年3⽉期(連結)の業績予想】
04b出所:各社の決算短信より作成

 

<プラント・エンジニアリング業>
9社が増収、10社合計で売上は前年同四半期比12.3%増となるも、
多額の特別損失の影響で純利益は大幅に減少

増収増益3社、増収減益6社(増収赤字幅拡大を含む)、減収減益1社となっており、増収企業が9社になっています(図表⑨)。10社合計でみると売上高は前年同四半期比12.3%増ですが、純利益は同622.8%減と大幅な減少になっています。ただし、この大幅な減益の要因は業界トップの日揮が594億円、二番手の千代田化工建設が203億円の多額の特別損失を計上したことであり、両者を除いた8社の合計では純利益は11.6%増となっています。

【図表⑨ プラント・エンジニアリング業主要10社の2022年3月期第1四半期(連結)の実績】
05-1出所:各社の決算短信より作成

 

<22年3月期業績予想>

6社が増収と予想していますが、純利益については日揮と千代田化工建設がともに巨額の赤字予想であるのを含めて5社が減益としています。10社合計をみると売上高は前期比3.8%増と増収予想になっています。利益については営業利益が同6.5%減、経常利益は同8.0%減に踏みとどまっていますが、純利益は650億6,400万円の赤字となっています。ただし、日揮と千代田化工建設を除いた8社の合計を算出すると売上高が同10.0%増、純利益は同11.6%増となります。

【図表⑩ プラント・エンジニアリング主要10社の2022年3⽉期(連結)の業績予想】
05b※「収益認識に関する会計基準」などを適⽤するため業績予想の対前期増減率を公表していない⽇揮についても単純計算で対前期増減率を記載している

 

<住宅・不動産業>
7社が増収増益、10社合計で売上高が前期比4.3%増、
純利益が同31.1%増の好調な決算

増収増益が7社、減収増益が1社、減収減益が1社となり、7割の企業で増益となっています(図表⑪)。10社合計でみると、売上高は前年同四半期比4.3%増、営業利益は同14.5%増、経常利益は同16.0%増、純利益は同31.1%増となり、増収増益の好調な決算となっています。

【図表⑪ 住宅・不動産業主要 10 社の 2022年3月期第1四半期(連結)の実績】
06-1出所:各社の決算短信より作成

 

<22年3月期業績予想>

8社が増収増益と予想しています(図表⑫)。10社合計でみると売上高が前期比5.4%増、営業利益が3.6%増、経常利益が5.5%増、純利益が11.3%増となっており、業界全体でも増収増益の好業績になると予想されています。

【図表⑫ 住宅・不動産業主要10社の2022年3⽉期(連結)の業績予想】
06b※タカラレーベンは2022年3月期の期首より「収益認識に関する会計基準」を適用することを理由に、決算短信では第1四半期実績の前年同四半期増減率、通期業績予想の前期比増減率は記載されていません。
※10社合計ではタカラレーベンも含めて前年同四半期増減率、前期比増減率を算出しています。

 

本レポートのまとめ

2022年3月期第1四半期の各業種主要10社合計の前年同四半期比をみると、住宅・不動産業の売上高が4.3%増、純利益が31.1%増、電気・電気通信設備工事業の売上高が4.1%増、純利益が28.4%増となり、好調な決算となっています(図表⑬)。一方、総合工事業は純利益が27.3%減、土木工事業は純利益が41.6%減となっており、収益性の悪化が目立ちます。
管工事業は売上高が0.8%減と微減ですが、純利益は7.2%増と堅調な決算。プラント・エンジニアリング業は売上高については12.3%増と大幅に伸びましたが、業界大手2社の特別損失計上の影響から大幅な減益となりました。

【図表⑬ 2022年3月期第1四半期の各業種主要10社合計の前年同四半期比】
07-1

2022年3月期の通期業績予想について同じく各業種の主要10社合計をみると、住宅・不動産業の売上高が前期比5.4%増、純利益が同11.3%増と非常に好調な決算が予想されています(図表⑭)。管工事業は売上高が同6.5%増、純利益は0.6%減と堅調な決算となっています。一方、総合工事業は純利益が同18.5%減、土木工事業は純利益が同21.0%減、電気・電気通信設備工事業は同9.0%減となっており、収益性の悪化が予想されています。プラント・エンジニアリング業が売上高は3.8%増となるも、特別損失計上の影響で大幅な減益となっています。

【図表⑭ 2022 年 3 ⽉期通期業績予想 主要 10 社合計の前期⽐】
07b

 

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