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月次レポート

建設業界 人材市場動向月次レポート 2022年3月

編集部 2022年04月04日

本レポートは、建設業に特化して人材関連の様々な情報、最新の雇用関連データを月に1回のペースで発信しています。今回は、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」から、建設業の最新の給与動向及び労働時間の動向についてご紹介します。
調査の結果、2021年の建設業の年間給与額は製造業や全産業平均より高く、労働時間も3年連続で減少するなど、建設業では労働環境が改善傾向であることがわかりました。
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今月のトピックス

建設業の給与額、コロナ禍でも前年並みを維持し、製造業と全産業平均よりも高い

2021年の建設業の年間現金給与額は520万5千円で前年の521万2千円から微減しましたが、依然として製造業、全産業平均ともに上回るレベルとなっています(図表①)。時系列に見ると、2019年に建設業の年間現金給与は製造業を上回り、2020年にはコロナ禍等の影響から製造業、全産業平均ともに大幅に落ち込んでいるなか、建設業はほぼ横ばいで推移しており、コロナ禍においても給与レベルは維持されていることが分かります。

【図表① 建設業・製造業・全産業平均の年間現金給与額の推移】HR_202203m_001出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査」より作成

建設業の労働時間は短縮傾向も、製造業と全産業平均よりも長い

2021年の建設業の年間総労働時間は2,036時間であり、前年の2,072時間から36時間短縮されました。一方、製造業は1,920時間と、前年の1,908時間から12時間増加しています。2021年においても建設業の総労働時間は製造業よりも116時間長くなっていますが、その差異は2020年の164時間よりも縮小しています。

【図表② 建設業・製造業・全産業平均の1人当たり年間総労働時間の推移】HR_202203m_002出典:国土交通省「予算決定概要」(各年度版)より作成

建設業の労働環境は改善傾向

このように、建設業の年間給与額は製造業、全産業平均ともに上回るレベルにあり、1人当たり年間総労働時間は2019年以降3年間連続で減少していることから、建設業の労働環境は向上していると考えられます。特に、東京オリンピック関連の建設需要がピークを迎えようとしていた2019年、2020年で1人当たり年間総労働時間が減少していることは評価できるでしょう。

2022年1月の建設業界の最新雇用関連データ

(1)建設業の就業者数・雇用者数・新規求人数

建設業の就業者数は475万人(前年同月比98.3%)、雇用者数は391万人(同97.5%)で、ともに9カ月連続で前年同月を下回っています。

<建設業の就業者数と雇用者数の推移>HR_202203m_003出典:総務省「労働力調査」より作成

公共職業安定所(ハローワーク)における建設業の新規求人数は76,089人(同103.8%)と14カ月連続で前年同月を上回りました。

<建設業の新規求人数の推移(新規学卒者とパートを除く)>HR_202203m_004出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」より作成

(2)建設技術職の雇用動向

ハローワークにおける建築・土木・測量技術者(常用・除くパート)の有効求人倍率は9カ月連続で前年同月を上回り6.63倍(前年同月比0.39ポイント上昇)になりました。
労働需給の先行指標となる新規求人倍率は13カ月連続で前年同月を上回り、9.83倍(同0.14ポイント上昇)となりました。
有効求人数は前年同月比107.0%となり13カ月連続で前年同月を上回りました。新規求人数も同105.5%と13カ月連続で前年同月を上回っており、建設技術者の需要は増加傾向が続いています。
充足率は前年同月より0.41ポイント低下して2.31%となり、ハローワークで建設技術者を採用することは困難な状況が続いています。
*充足率=(就職件数/新規求人数)×100(%)

<建築・土木・測量技術者の雇用関連指標の推移(常用・除くパート)>HR_202203m_005出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」より作成

(3)建設技能工の雇用動向

ハローワークにおける建設・採掘の職業(常用・除くパート)の有効求人倍率は、前年同月より0.19ポイント低下して5.34倍となりました。
労働需給の先行指標となる新規求人倍率は前年同月を0.67ポイント下回る6.79倍となり、人材需給は若干緩和すると推測されます。
有効求人数は前年同月比104.7%となり、17カ月連続で前年同月を上回りました。新規求人数も同103.6%と17カ月連続で前年同月を上回っており、建設技能工への求人意欲は上昇傾向が続いています。
新規求職者数は前年同月比113.9%となり3か月連続で前年同月を上回りました。
充足率は前年同月より0.57ポイント低下して4.33%となり、ハローワークで建設技能工を採用することは困難な状況が続いています。
*充足率=(就職件数/新規求人数)×100(%)

<建設・採掘の職業の雇用関連指標の推移(常用・除くパート)>HR_202203m_006出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」より作成

2022年1月の雇用関連データのまとめ

*労働力調査のデータは2015年から2021年までの数値について、ベンチマーク人口を2020年国勢調査基準(新基準)に切り替えたことに伴い過去に遡って書き換えられています。

(1)主要な雇用環境指標の推移

就業者数は前年同期比で4カ月連続減少

就業者数は6,646万人(前年同月比32万人減)と4カ月連続で前年同月を下回りました。雇用者数は5,977万人(前年同月比35万人減)と減少に転じました。就業率は60.1%(前年同月比0.1ポイント上昇)となり2カ月連続で前年同月を上回りました。

完全失業者数は前年同期比で7カ月連続減少

完全失業率(季節調整値)は前月より0.1ポイント上昇して2.8%、完全失業者数は7カ月連続で減少して前年同月比14万人減の185万人となりました。

【主要雇用環境指標の推移】HR_202203m_007出典:総務省統計局「労働力調査」より作成


最も減少率が高いのは教育・学習支援業で前年同月比3.9%減

産業別に就業者数を見ると、最も増加率が高いのは学術研究、専門・技術サービス業の前年同月比増減率2.4%増であり、次いでサービス業(他に分類されない)の同2.3%増となっています。一方、最も減少率が高いのは教育・学習支援業であり同3.9%減となっています。

【主要産業別の就業者数・雇用者数】HR_202203m_008出典:総務省統計局「労働力調査」より作成


正規の従業員数が28カ月ぶりに減少

雇用者数を正規、非正規別に見ると、正規の職員・従業員数は3,554万人(前年同月比27万人減)となり2019年10月以来28カ月ぶりに減少しました。非正規の職員・従業員数は前年同月と同じで2,067万人となりました。

【雇用形態別雇用者数の推移】HR_202203m_009出典:総務省統計局「労働力調査」より作成


完全失業率が最も改善したのは15歳から24歳の男性と55歳から64歳の女性

男女別に完全失業率を見ると、男性は0.1ポイント前月よりも悪化し、女性は前月と同じでした。最も改善したのは15歳から24歳の男性と55歳から64歳の女性でともに前月よりも0.4ポイント改善しています。

【年齢階級別・男女別完全失業者数・完全失業率】HR_202203m_010出典:総務省統計局「労働力調査」より作成


勤め先や事業の都合による離職が6カ月連続で減少、自発的な離職も2カ月連続で減少

完全失業者数を求職理由別に見ると、勤め先や事業の都合による離職が前年同月比2万人減の36万人と6カ月連続で減少しました。また、自発的な離職者についても前年同月よりも3万人減少して69万人となり、2カ月連続の減少となりました。

【求職理由別完全失業者数の推移】HR_202203m_011出典:総務省統計局「労働力調査」より作成

(2)全体の有効求人倍率・新規求人倍率・正社員求人倍率の推移

有効求人倍率は前月より0.04ポイント上昇して1.20倍

ハローワークにおける有効求人倍率(季節調整値)は前月より0.04ポイント上昇して1.20倍となりました。労働需給の先行指標である新規求人倍率は前月より0.14ポイント低下して2.16倍になっており、来月は需給バランスがやや緩和されることが推測されます。正社員の有効求人倍率は前月と同じ0.86倍となりました。

【ハローワークにおける有効求人倍率(パートタイムを含む/季節調整値)の推移】HR_202203m_012出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」より作成

(3)職業別有効求人倍率の推移

ハローワークにおける専門的・技術的職業の有効求人倍率は前年同月を0.14ポイント上回って1.93倍となり、7カ月連続で上昇しました。
有効求人倍率が最も上昇したのは前月に続いて生産工程の職業で前年同月を0.64ポイント上回って1.95倍となりました。10カ月連続の上昇となります。次いで建設・土木・測量技術者が同0.39ポイント上回って6.63倍となりました。
最も有効求人倍率が高いのは建築・土木・測量技術者の6.63倍、次いで建設・採掘の職業の5.34倍となっており、建設業関連専門職の人手不足が深刻な状況が続いています。

【ハローワークにおける職業別有効求人倍率(パート除く)の推移】HR_202203m_013出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」より作成

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