記事|建設HR

東京ゲートブリッジ ―「建設HR」が後世に語り継ぎたい名構造物【2】

作成者: 編集部|2021年10月26日

レインボーブリッジに変わるあたらしい「東京の顔」

2012年2月に開通した東京ゲートブリッジ。なんといっても恐竜が向かい合うような、その形状に目を奪われる。

船舶が通過する中央部がやや持ち上がった左右対称の意匠

そもそもその目的はというと、国道357号線やレインボーブリッジなど周辺道路の混雑緩和と、2020年6月完成の「東京国際クルーズターミナル」需要への対応など、物流の円滑化だった。

自動車専用道ではなく、歩道も設置されている(写真左側/都心側のみ)。原付や自転車は通行できない。

数多くの難問をクリアするため技術と知識を結集

しかし、東京港の入口に2,618mの巨大な橋を建造するにあたり、ベイブリッジやレインボーブリッジのような吊橋にしなかったのはなぜか?そこには、周辺施設に配慮せねばならない事情があった。

たとえば、架橋の高さである。羽田空港に程近い立地のため、東京ゲートブリッジは離着陸する飛行機に影響を与えないようにしなくてはならない。また桁下は、東京港第三航路の船舶航行を確保する必要がある。軟弱な地盤も懸案材料だった。

さらに実用的ではあるものの、部材数が多く複雑で野暮ったい一般的なトラス構造でいいのか、という問いが立てられた。東京湾の玄関口には、もっと環境への調和とランドマーク性を有する近代的構造が必要なのではないか?と。

橋側面に連続設置された886基のLEDカラー照明は、消費電力の約4割を太陽光発電でまかなっている

それらの要求を叶えるためにFEM解析を導入し設計した結果が、トラスと箱桁を一体化した”鋼3径間連続トラスボックス複合構造”である(高さは126mのレインボーブリッジより低い87.8mで落ち着いた)。加えて高品質鋼(BHS鋼)を採用するなど新手法・新技術を積極的に取り入れた。架橋にあたっては、東京港第三航路を完全閉鎖し、34時間という限られた時間内でフローティングクレーン(大型起重機船)による大ブロック一括架設を行うという前代未聞の試みが行われた。

かくして100年耐用を目指したという高い耐久性と、”恐竜橋”と称される個性豊かな景観が具現化されたのである。

夕暮れ時には特殊な構造のシルエットがいっそう際立つ

毎月定められた色に彩られる東京ゲートブリッジ。8パターンの特別ライトアップも実施される。

記事初出:『建設の匠』2018年11月7日

アクセスマップ

データBOX

物件名 東京ゲートブリッジ
発注者(事業主) 国土交通省関東地方整備局 東京港湾事務所
設計者 セントラルコンサルタント株式会社 / パシフィックコンサルタンツ株式会社
施工者 五洋建設株式会社 / 宮地エンジニアリング株式会社 / 日立造船株式会社 / 川田工業株式会社
竣工 2012年
構造 主橋梁部:鋼3径間連続トラス・ボックス複合構造 / アプローチ部:鋼3~8径間連続鋼床版箱桁構造
規模 橋長:2,618m(主橋梁部:760m)
建材 橋梁用高性能高張力鋼(BHS鋼)
受賞歴 土木学会賞
所在地 東京都江東区若洲