複雑すぎる「ヤマタノオロチ」的構造
首都高Webサイトに、次のように書かれた場所がある。
「構造が複雑なため、案内標識や路面標示が複数あり、さらにロータリー内は一方通行となっていますのでご注意ください」
この一文にピンとくるドライバーは多いはず。そう、箱崎ジャンクションのことである。
3層構造で道路が連なる箱崎ジャンクション。
ボトルネックとなる理由
箱崎ジャンクションは、首都高速6号向島線と9号深川線を接続するジャンクションだ。このジャンクションは都心環状線×6号向島線×1号上野線が交差する江戸橋ジャンクションと、6号向島線×7号小松川線が交わる両国ジャンクションに挟まれており、なおかつ周辺に隅田川や日本橋川上の直角に近い(そのうえ車線も絞られる)カーブがあったりする。かつては浜崎橋ジャンクションと並んで、首都高を代表するボトルネックだった。
夜の箱崎ジャンクション。下層部にはT-CATが設置されている。(写真/PIXTA)
2路線が接続するだけなのに、公式サイトにおいても「構造が複雑」と説明されるのはなぜか。その理由のひとつに、下層部にある一方通行のロータリーの存在がある。箱崎出入口、浜町出入口、清洲橋出口を利用する際はこのロータリーを経由する必要があるのだ。そして、「箱崎PA」というパーキングエリアや、以前は出国審査も可能だった東京シティエアターミナル(T-CAT)もこのロータリー内にある。
川田工業の名仕事
この“渋滞の名所”の汚名を返上するべく、1994年から4年かけて改良工事か行われた。都心環状線内回り方向から9号線へ流入できる専用車線を約310mの専用車線を増設したのである。
施工を担ったのは橋梁建設の名門・川田工業。付近は住居や商業施設等の密集地域で、南側は既存の高速道路だ。人通りが多く、なおかつ狭隘な作業空間で多くの制約条件があり、そこで鋼橋脚7基と桁架設を行う難工事だったが、川田工業は見事にそれを成し遂げた。
昼間の箱崎ジャンクションを俯瞰で。こうしてみると意外にシンプルだ。(写真/photolibrary)
2021年現在でも、渋滞が完全に解消されたわけではなく、ドライバーには渋滞の記憶が強く残る箱崎ジャンクションだけれど、地上から見上げるその姿は美しい。“ヤマタノオロチ”と称されるほど複雑に絡み合う道路、特に夜の観覧をおすすめしたい。
夜の箱崎ジャンクション。首都高を走る車の走行音が絶え間なく聞こえる。まるで脈動のようだ。
アクセスマップ
データBOX
物件名 | 箱崎ジャンクション |
発注者(事業主) | 首都高速道路株式会社(旧首都高速道路公団) |
施工者 | 川田工業株式会社(改修時) |
竣工 | 1971年3月21日 |
改修 | 1994年 |
所在地 | 東京都中央区日本橋箱崎町22 |