建設業のDX(デジタルトランスフォーメーション)技術が一堂に出展する総合展示会、「建設DX展」が2021年12月に開催されました。
建築先端技術展「ジャパンビルド2021」内で開催され、今回は第2回目となる同イベント(注:関西は9月に開催)。会場はご覧のとおり大盛況でした。「建設DX」に対するニーズの高まりを感じさせます。
「建設DX」は展示内容もさまざまで、目を惹くようなものばかり。建設ロボットやタワークレーン遠隔操作システム、3Dプリンター、ドローンなどの“大物”から、施工管理アプリや顔認証システムなどの身近なものまでまさに百花繚乱といった印象でした。
さて、「建設人事のお悩みに寄りそう」建設HR編集部は、建設DXの原点ともいえる「BIM/CIM」に注目してみました。一口にBIM/CIMといっても、どんなツールやサービスがあるのでしょう? 「BIM/CIM」を掲げているブースを目指し、訪ね歩いてみました。
日建リース工業
建設用鋼製軽量仮設機材レンタルのパイオニアとして広く知られ、昨今ではサーモンの陸上養殖事業まで挑戦している(!)日建リース工業も建設DX展にブースを構えていました。
日建リース工業のBIM/CIMソリューションとはなんぞや? それは「施工BIM・施工CIM仮設計画モデリングサービス」。日建リース工業の仮設材を使う現場に限り、BIM/CIMモデリングを代行。 施主や周辺住民への説明用レベルである「レベル1」から施工・建て方・解体検討用や工程に合わせた必要数量抽出までやってくれる「レベル3」までとメニューを用意しているようです。 寸劇風のステキな動画も公開されているので、ぜひご覧あれ。
Nexceed
Nexceedは「BIMで新しい施工管理を。」と次世代の施工管理DXを謳っていました。そのサービスが「BIMXD」です。
BIMXDは納品・進捗・ファイル管理がひとつのアプリでできるという優れモノ。BIMソフトの連携不要で、現場でタブレットを使ってサクサクBIMモデルが確認できて、部材の属性情報を用いて自動拾いや納品依頼が誰でもどこでもできる。――実に施工現場に寄りそったつくりです。
Nexceed 代表の吉田氏は、BIMXDについて「施工現場におけるGitHubを目指している」と語っています。もともとは一級建築士を目指し、設計事務所で2次元CADを使った設計業務に従事していた吉田氏だからこそできるサービスなのかもしれませんね。
野原ホールディングス
「BuildApp」なるものを大々的にPRしていたのは野原ホールディングス。これは内装・建具工事におけるBIMを活用した設計-生産-施工プロセスの業務効率化と脱炭素化を支援するプラットフォームだそう。
具体的には「設計積算、生産、流通、施工管理、維持管理」の 5 つのプロセスごとにBIMを起点としたサービスでつなぐもの。部分最適化しかできていなかったBIMが、ついに全体最適となる礎となるプラットフォームなのでしょう。
2022年1月から月額費用無料のβ版のサービス開始とのことですが、建設DX展ではその一部のサービスを先行公開していました。一度試してみる価値はありです。
出典:BuildAppウェブサイトより引用
「BuildApp」について詳しくはこちら
ARAYA(株式会社アラヤ)
BIMにシミュレーター(Unity)を組み合わせ、吊り荷が衝突しないようタワークレーンの最適な経路を生成するシステムを提案していたのが、業務で“本当に使えるAI”を提供するスタートアップ・ARAYA(アラヤ)。さらに、BIM×シミュレーターに進化計算アルゴリズムも組み合わせ、建設部材の「クレーンによる運搬順の最適化」を図るソリューションも。これがあれば格段にムダを減らし、生産性を高められそう……。
ARAYAはこの他にもAIによる建機の自動化開発支援サービスや画像認識技術を活用した安全管理などのサービスを提供しているとのことです。
ARAYAのAI開発事例【建設機械等の自動化(自動操縦)】について詳しくはこちら
協栄産業
40年前からRC数量積算/仕上数量積算/建築見積書作成ソフトの「建築積算システム FKS」を開発・販売してきた協栄産業。今回の建設DX展では「BIMの入口はFKS」というキャッチコピーを大々的に掲げていました。 協栄産業によれば、BIM 導入の入口を「FKS」にすると、BIM モデル構築に大きなメリットがあるのだそう。
具体的に言うと、設計担当者が手間暇かけて作成したBIMモデルでも、設計担当者と積算技術者が異なってしまえば、その BIM モデルには積算に必要なデータが入力されていないという困ったことがおきます。
そこで設計BIMソフトと比べ操作がラクで、かつ基本情報を入力するだけで構造 3 次元モデルが自動作成される「FKS」の特徴を活かし、データを設計 BIM ソフトに連携。そうすればBIM モデル構築の大幅な時間短縮が可能――というのです。
いっぽう意匠モデルの場合は、積算技術者が「FKS」を使って仕上リストを作成し、そのデータをBIM モデルへ連携させ不足部材をモデリングするだけで、積算から内訳までの自動算出も可能だとか。
「BIMの入口」に悩む担当者の方にとって、「FKS」は覚えておいて損はないかもしれません。
「建築積算システム FKS」について詳しくはこちら
構造計画研究所
「BIMを導入しているが設計効率が上がらない」 そんな悩みを抱える企業も多いのではないでしょうか。あの長谷工コーポレーションもBIMにおいてそのような悩みを抱えたそう。そんな長谷工のBIMをサポートし「企画設計から施工図まで、設計作業時間を約20パーセント削減」までこぎつけたのは、ほかならぬ構造計画研究所のチカラです。
構造計画研究所は「BIM導入から運用までトータルコンサルティング」を謳い、BIMソフトの標準機能の設計効率の低さに悩む長谷工のような企業に対して、BIMのカスタマイズやアドオンツールを開発、業務効率化や精度向上に貢献してくれるとのこと。
BIMを中核とした業務特化型一貫システムまで構築してくれる企業はそうあるものではありません。構造計画研究所の技術力おそるべし、です。
トラス
株式会社トラスが提供する同名の建材選定・管理データビースサービス「truss」は施主・設計者・施工側が円滑に情報のリアルタイム共有をおこなうことができます。さらに「truss」はBIMと連携することで、BIMモデルにワンクリックで建材情報をもれなく入力できるそう。これによって入力作業は軽減され、さらに正確な記録やシミュレーションが可能となり、BIMによる高度な設計/施工計画立案に注力できるとのこと。
Revitなど各種BIMソフトや応用技術の「BooT.one」などパッケージとの連携も可能とのこと。すでに大和ハウスや安藤ハザマにおいて導入されているこのツール、BIM導入時には検討したいですね。
trussについて詳しくはこちら
BIM/CIM関連ツール/サービスは揃ってきた。あとは人材……?
「BIM/CIM」をキーワードに切り取ってみただけでも、建設DX展ではさまざまなツールやサービスが提供されていました。これらによってBIM/CIMはさらなる普及拡大、そして生産性向上に貢献してくれるはず。
しかし、これらのツールやサービスが充実していけばいくほど、BIM/CIM自体を扱う人材の採用や育成、さらに学び直し(リスキリング)がますますカギとなっていく予感がします。
それを見越してか、建設DX展の主催者であるRX Japanは、来年5月に第1回 デジタル人材育成支援EXPOを開催予定。DX人材の育成や確保に悩みを抱えている企業担当の方はぜひチェックしておきたいイベントです。
もちろん「5月までなんて待っていられない!」という企業も多いはず。 その際にはヒューマンリソシアのような、建設DX人材の派遣やサービス提供を得意とする人材サービス会社までお問い合わせください!
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