「ツールは導入したのに、現場が使ってくれない」「マニュアルを配っても、以前のやり方に戻ってしまう」。建設業のDX推進を担当する方から、こうした声をよく聞きます。人手不足と2024年からの時間外労働の規制強化を背景に、建設DXの重要性は年々高まっています。しかし導入したツールが現場に定着せず、DXの推進が止まっている企業は少なくありません。
この記事では、建設DXが進まない7つの理由を整理します。そのうえで、教育や研修といった定番の対策がなぜ続かないのかを説明し、少人数の推進部門でも現場にツールを定着させた大手ゼネコンの実例を紹介します。本社・本部でDX推進を担当している方は、ぜひ参考にしてください。
【目次】
1.建設DXとは
2.建設DXが進まない7つの理由
3.よくある3つのDX対策が建設現場で続かない(失敗しやすい)理由
4.建設DXを動かすのは、施工現場と本部の間に立つIT支援人材
5.IT支援人材に必要なのは、開発力より建設現場のコミュニケーション力
6.IT支援人材を受け入れたゼネコン2社の建設DX事例
7.建設業界へIT支援人材を派遣しているのはどんな会社か
8.中小企業の建設DXは、どこから始めるか
9.建設DXを定着させる4つのステップ
10.IT支援人材を外部から迎える2つの方法 — 派遣と業務委託(BPO)
11.建設DXの費用の考え方と使える補助金
12.よくある質問(FAQ)
13.まとめ — 建設DXを進めるには、ツールより先に人を置く
建設DXとは、デジタル技術で建設業の業務プロセスや働き方を変革する取り組みです。国土交通省はインフラ分野のDXを政策として推進しています。建設業のデジタル化は、個社の効率化にとどまらない産業課題です。
ただし、建設業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)はツールの導入で終わりません。現場で使われ続けて初めて成果になります。本記事は「導入したのに進まない」段階の方に向けて書いています。基礎から知りたい方は建設DXとは?課題や事例の解説記事をご覧ください。
国土交通省の資料によると、建設業の就業者数は477万人(令和6年平均)まで減少しました。ピーク時の685万人(平成9年平均)から約30%減っています*1。しかも55歳以上が36.7%を占める一方、29歳以下は11.7%にとどまります(総務省「労働力調査」2024年)*2。高齢化と若手不足が同時に進んでいる状態です。
一方、建設投資額はピーク時の約84兆円(平成4年度)から一度42兆円台まで落ち込み、令和7年度は約76兆円(見通し)まで回復しています*3。仕事量はピーク比マイナス1割まで戻ったのに、就業者数はピーク比マイナス3割のままです。人手の減り方は、仕事量の減り方の約3倍のペースで進んでいます。
人手不足は建設業の課題の筆頭で、建築業界の課題として長年指摘されてきました。就業者が減るなかで、デジタル化は「生き残りの必須条件」と言われながら、現場への定着は進んでいません。建設DXは国土交通省が政策として掲げるテーマでもあり、2024年に「i-Construction 2.0」を策定しました。2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割、生産性を1.5倍以上に高める目標を掲げています*4。建設業界のDXの遅れは、次の7つの構造要因が重なって起きています。まず全体像を一覧にします。
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進まない理由 |
よくあるサイン |
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1 |
既存業務の飽和 |
「そんなことをしている暇はない」 |
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2 |
ベテランのIT苦手意識 |
紙・電話・FAXの文化が残る |
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3 |
本部と現場の温度差 |
マニュアルを送って終わり |
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4 |
コストと投資対効果 |
費用の回収イメージが持てない |
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5 |
経営層の理解不足 |
「DXはIT部門の仕事」 |
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6 |
社内の準備不足 |
目的が曖昧・業務が属人化 |
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7 |
多重下請け構造 |
会社をまたぐと情報が分断 |
自社の状況に当てはまるものを数えてください。当てはまった数で、次の一手が変わります。
1.現場から「そんなことをしている暇はない」と言われたことがある
2.ベテラン職員が紙・電話・FAXの運用を続けている
3.本部の配布したマニュアルが現場で読まれていない
4.ツール導入の費用対効果を役員に説明できていない
5.経営層から「DXはIT部門の仕事」と言われたことがある
6.「何のためのDXか」を社内で言語化できていない
7.協力会社との間で情報のやり取りが紙やメールで止まっている
3個以下: 該当する理由への個別対処で建設DXは進みます。理由ごとの解説をお読みください。
4個以上: 個別対処では追いつきません。現場と本部の間に立つIT支援人材の配置から検討してください(理由3と解決策の章で解説します)。
※この判定基準は、本記事で挙げた7つの理由をもとにした整理です。統計的な裏づけのある閾値ではありません。
現場の職員は安全管理・品質管理・工程管理・協力会社との調整で、すでに手一杯です。そこに2024年からの時間外労働の規制強化が重なり、「ツールの使い方を覚える時間」そのものが確保できません。
この規制は働き方改革関連法に基づくもので、2024年4月から建設業に適用されています。時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間です。臨時的な特別の事情がある場合でも、年720時間・単月100時間未満・複数月平均80時間以内(いずれも休日労働を含む)という上限を超えられません*5。
働き方改革で残業を減らさなければならないのに、覚えることだけが増えていく。この矛盾が現場の実感です。新しいシステムの導入が「仕事を増やすもの」に見えてしまう構造。これが最初のつまずきです。
長年の現場経験を持つベテランほど、デジタルに頼ること自体への抵抗感が生まれやすいものです。ただし、これはベテランが悪いわけではありません。ITリテラシーは施工のプロに本来求められてきた要素ではないからです。
紙の図面や口頭・電話の指示で回ってきた現場に、操作を覚える負担だけが上乗せされれば、拒絶反応が起きるのは当然です。かつて「建設業のIT化の遅れ」と呼ばれた課題が、建設業界のDXの遅れとして名前を変えて残っています。建設業のIT化事例を探しても「導入まで」の話が多く、定着の課題に踏み込んだ情報は少ないままです。
本部のDX推進部門と現場の間には、リテラシーの差だけでなく「温度差」があります。本部が配布したマニュアルは、現場では読まれずに終わりがちです。どちらも悪意はないのに、距離だけが広がっていきます。
本部は「これでわかるだろう」と思って送り、現場は「現場のことがわかっていない」と受け取ります。推進部門は数名の少数部隊で、全現場に張り付く人手はありません。この「間をつなぐ人の不在」が、本記事でもっとも重視する理由です。
システムやソフトの導入には初期費用と継続費用がかかります。一方で、情報共有の効率化や技術継承といった効果は金額に換算しづらく、投資対効果が見えないままでは決裁が通りません。建設DXのデメリットとして真っ先に挙がるのが、このコスト負担の重さです。古い基幹システム(レガシーシステム)の刷新が必要になるケースでは、費用はさらに膨らみます。
この負担感にはデータの裏づけがあります。中小企業庁の調査では、建設業は売上高に占めるIT投資額が1%未満という企業が6割以上を占めています*6。ただし同じ調査は、直近5年間でIT投資が増加傾向にあった建設業の企業が5割以上と全業種でもっとも高かったことも示しています*6。投資に前向きな企業は業界内で確実に増えています。
だからこそ、全社一斉導入を前提にせず、1現場からのスモールスタートで効果を確かめる進め方が現実的です(費用と補助金の考え方は後述します)。
「DXはIT部門の仕事」と現場任せにされた取り組みは、予算と権限が不足したまま止まります。デジタル化は業務プロセス全体の変革であり、経営層が方向を示し続けることが前提条件になります。経営層のコミットメントは、DX推進を担う企業・部門への「予算と権限の裏づけ」という形で現場に届きます。
「とりあえず何か導入しよう」という曖昧な目的では、現場は何をすればよいかわかりません。「うちの会社にとって建設業DXとは何をすることか」を言語化しないまま走り出すと、ツール選定と評価基準が定まりません。また「この積算はあの人にしかできない」という属人化した業務は、プロセスが標準化されていないため、そのままではデジタル化できません。どの業務で、どの課題を解決するのかを先に決める必要があります。
建設業は工程ごと・会社ごとに扱う情報が異なり、元請けと協力会社の間で情報が分断されがちです。クラウドで情報を共有しようとしても、会社をまたいだ途端にツールと運用ルールが変わってしまう。自社だけで完結しない構造が、業界全体としてデジタル化を進みにくくしています。
分断の深さはデータにも表れています。国土交通省の調査では、建築工事の現場は2次下請25.4%・3次下請33.3%・4次以上31.2%という内訳でした(元請回答・n=433)*7。土木工事より下請段階が深くなりがちです。しかも重層下請構造の課題認識は立場で割れます。注文者側は「下請の施工品質や安全性の低下」を、請負側は「適切な報酬を得られない」「労働時間の長時間化」を挙げる割合が高く*7、同じ構造を見ていても、痛みの場所が違うのです。
この分断は、建築DXや建設現場DXと呼ばれる隣接領域でも起きています。住宅・リフォームを含む建築業界DXも同じです。建築DXとは何かという定義は変わっても、建築現場で起きるつまずきは変わりません。建設分野のDXの課題には、1社の努力では解けない部分があります。
原因がわかれば対策を打ちたくなります。ただし、新しいツールや建設DXベンチャーのサービスを次々試す前に知っておきたいことがあります。多くの会社が最初に選ぶ3つの定番対策は、現場でほとんど機能しません。3つに共通するのは「現場の人を変えよう」としている点で、前章の構造に真っ向からぶつかります。
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定番の対策 |
ぶつかる制約 |
現場で起きること |
|---|---|---|
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コア業務より学習を優先させる |
工期と安全が最優先 |
優先順位の逆転で現場の信頼を失う |
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一からリテラシー教育をする |
ITは現場職員の職能ではない(理由2) |
投資の回収前にツールが形骸化する |
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手取り足取り張り付いて教える |
推進部門は数名の少数部隊(理由3) |
全現場に手が回らずマニュアル配布に戻る |
工期と安全を守る現場で、施工より学習を優先させる進め方に無理があります。優先順位を入れ替える指示は、現場からの信頼を失う一手にもなります。
全員のITリテラシーを底上げする教育は、理想ではあっても時間がかかりすぎます。前述のとおり、ITは現場職員の職能の外にあります。教育の投資が回収される前に、ツールが使われないまま形骸化します。
推進部門や社内の技術スタッフは数名しかいないのが普通です。全現場に張り付いてレクチャーし続けるマンパワーは、どの会社にもありません。だからこそマニュアル配布で済ませてしまい、理由3の「送って終わり」に戻ってしまうのです。
3つの定番対策がどれも効かないなら、残る道は1つです。現場を変えるのではなく、間に人を入れて仕事のほうを引き取る。発想をこう転換します。
IT支援人材とは、現場のノンコア業務を代行しながら、ツールや業務システムを現場に浸透・定着させる推進役の人材のことです。ツールの選定や開発をする人ではありません。現場と本部の間に立って「使われる状態」を作る人です。
ツールを増やす前に、間に立つ人を置く。打ち手はほかにもありますが、本記事はこの進め方を軸に置きます。
1.ノンコア業務の代行: 書類作成・写真整理・日報入力といった業務を現場職員の代わりに処理する
2.ツールの浸透・定着: 現場からの質問にその場で答え、場合によっては代わりに操作する
3.リテラシーの橋渡し: 本部の専門用語を現場の言葉に翻訳し、逆に現場の実情を本部へ伝える
業務改善の提案: 外の目で業務を見て、「この作業は生成AIで効率化できます」などの提案をする
4つの役割は順番に効いていきます。まず代行で現場の信頼を得る。信頼があるからツールの質問が集まり、定着が進む。定着の過程で本部と現場の言葉の違いが見え、橋渡しができる。そして業務の全体が見えたとき、外の目からの改善提案が生まれる。クラウド型の工程管理や写真管理のようなツールも、この循環の中に置かれて初めて「使われるツール」になります。
IT支援人材の配置が効くのは、現場に変化を強制しないからです。その場ですぐ質問に答えてくれる人がいて、自分の代わりに操作をしてくれる人がいるだけでも、現場は多くの時間をかけずにデジタルへ近づけます。「得」が先に届くことで、組織全体が自然な形でデジタル化を受け入れていきます。
現場で求められるのは、すでに導入されているツールやシステムを現場の業務に合わせてスムーズに動かす力です。プログラミングをするエンジニアでも、施工を判断する技術者でもなく、「伴走する実務のパートナー」が正しい人物像です。スマホ世代のデジタルネイティブは、初めて触るアプリでも抵抗感なく操作を覚えていきます。高度な開発スキルを持つ人材を探すより、いまあるツールを現場に合わせて動かせるかで見るほうが、DX推進の実態に合っています。
高いITスキルがあっても、職人や監督と良好な関係を築けなければDXの取り組みは浸透しません。実際にIT支援人材として活躍しているスタッフには、前職が接客業など建設と無関係な業種だったスタッフが多くいます。(これはヒューマンリソシアの雇用しているスタッフの傾向で、統計的な裏づけのある数字ではありません。)技術より先に、現場に受け入れられる力を見てください。
IT支援人材を置くと現場で何が起きるのか。建設業のDX事例として、ヒューマンリソシア コンストラクション事業部が人材を送り出した2社を紹介します。効果は定量値が公表されていないため定性的な変化として記載します。
導入前の課題
「ツールの使い方がわからない」「データがうまく連動しない」。ある大手ゼネコンの本部には、全国の現場からこうした問い合わせが殺到していました。現場ごとに使うツールも業務のやり方も異なり、施工管理の現場から届く質問は1件ずつ中身が違います。数名しかいない社内の技術スタッフでは対応しきれず、マニュアルを送って終わりになっていました。
技術スタッフが本来やるべき業務は、新しいツールの開発・検討やBIM/CIMの運用です。しかし日々の問い合わせ対応に時間をとられ、本来の業務は後回しになっており、葛藤を抱えていました。
やったこと
現場経験があり、独学でITパスポートの勉強をするなどITの素地もあるスタッフを、現場からの問い合わせを一手に引き受ける担当として配置。デスクを離れて実際に現場へ出向き、現場向けの説明会も行いました。
結果
カバーできる現場の数が大幅に拡大。技術スタッフは新しいツールの開発やBIM/CIMの運用といったコア業務にリソースを移せるようになりました。「現場の要望のキャッチアップが早く助かった」「貴重な戦力になっています」という声をいただいています。
この事例の学びは、問い合わせを受ける専門人材を配置する設計にしたことです。マニュアルの改訂を重ねるより、間に立つ1人を置くほうが、現場の要望は早く本部に届きました。
導入前の課題
土木のDX事例として紹介するのは、ある大手ゼネコンの土木部門です。
この現場では、研修のやり方と伝える内容が現場ごとにバラバラで、研修対応に大きな手間と時間が取られていました。本来教えなければいけない内容が教育しきれず、各現場でできることには限界がありました。
やったこと
素直さと前向きさがある業界未経験の20代のスタッフを配置し、デスク作業にとどまらず複数の現場を直接回って研修内容をヒアリングし、生成AIを使って研修動画を作成しました。
結果
入場者には動画を見せるだけでよくなり、教育品質の標準化が進みました。現在も取り組みは継続中のため、今後、より効果がみえてくるでしょう。未経験のスタッフでも、前向きさと現場に飛び込む行動力があれば戦力になることを示した事例でもあります。「生成AIのようなツールも自分で試行錯誤しながら覚えてくれるので助かっている」という評価もいただきました。完成を待たず、運用しながら形にしていく。建設業のデジタル化事例に共通する現実的な進め方です。
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事例1.ゼネコン本部 |
事例2.土木部門 |
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|---|---|---|
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導入前 |
問い合わせが本部に殺到 |
現場ごとに研修がバラバラ・準備に手間 |
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配置した人材 |
現場経験+ITパスポート学習の素地あり |
業界未経験・20代・素直さと前向きさ |
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やったこと |
問い合わせ対応を巻き取る。現場出向・説明会 |
現場を回ってヒアリングし、生成AIで研修動画化 |
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変化 |
カバー現場数が大幅拡大。 |
動画を見せるだけに。 |
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状態 |
顧客から「貴重な戦力」との評価 |
進行形(効果は途中経過) |
※守秘のため社名は伏せています。効果の定量値は公表されていないため、定性的な変化として記載しています。
IT支援人材を外部に求める場合、送り出す側の体制で結果が変わります。ヒューマンリソシア コンストラクション事業部の体制は次のとおりです。
・ヒューマンリソシアは、東証スタンダード上場のヒューマンホールディングス(証券コード2415)のグループ企業です。
・1988年の設立以来、CADオペレーターの育成派遣を手がけ、これまで2,000社を超える建設業の企業との取引があります。
・グループ会社のヒューマンアカデミーは、オートデスク社から国内初のオートデスクマスター試験センターとして認定されています。
・人材派遣、人材紹介、アウトソーシング、DX支援を一体で提供しています。
・配属するIT支援人材は20代から30代前半のデジタルネイティブ世代が中心で、前職が接客業など対人業務の経験者が多く在籍しています。
業界未経験者を現場に出す場合、受け入れ側の教育負担が懸念になります。この負担を送り出す側で巻き取るため、配属前に3層の研修を実施しています。
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研修の層 |
内容 |
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業界研修 |
墨出し・生コン・KY活動といった専門用語、工事全体のプロセスと基本的な流れ、 |
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OA・CAD研修 |
Excel・Word・PowerPointの基礎に加え、AutoCAD・Revitの基本操作 |
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配属先別の個別研修 |
配属予定の業務に合わせた研修 |
CADを実際に使わない配属先でも、CAD研修を通じて図面の種類がわかるようになり、現場との会話が通じやすくなります。配属後も随時研修を行い、伴走支援を続けています。
IT支援人材の考え方は、会社の規模を問いません。中小企業なら1現場・1業務から人員を配置する進め方が向いています。写真整理だけ、日報だけで構いません。
ゼネコンに限らず、建設コンサルタントや専門工事会社でも構造は同じです。任せる業務の選び方は施工管理の効率化7つの方法で解説しています。効果を確かめてから広げてください。
IT支援人材を軸にした定着までの進め方を、4つのステップに整理します。スタートは「ツール導入済み・現場は未定着」、ゴールは「ツール定着→コア業務への集中→現場全体の生産性向上」です。
エンジニア募集をやめ、「デジタルネイティブ世代×現場のコミュニケーション力」で人を探します。
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変更前の要件 |
変更後の要件 |
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|---|---|---|
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技術面 |
システム開発経験3年以上 |
スマホ・アプリの操作に日常的に慣れている |
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業界知識 |
建設業界経験者歓迎 |
不問(入社後の業界研修で埋める) |
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対人面 |
記載なし |
前職が接客業などの対人経験があると尚可 |
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探す人物像 |
レベルの高い人 |
このケースに合う人 |
探すのは「レベルの高い人」ではなく「このケースに合う人」です。要件定義を書き換えるだけで、候補者の母集団は大きく変わります。
墨出し・KY活動といった業界用語、工事全体の流れ、CADの基礎(AutoCAD・Revit)を先に研修します。配属先に合わせて、Power Platformや生成AIの業務利用といった個別テーマを事前に学んでもらうこともあります。目的はスキルの証明ではなく、現場と会話できる共通言語をつくることです。
「教える人」ではなく「面倒事を持っていってくれる人」として現場に入ります。写真整理・日報入力・安全書類の作成などのノンコア業務の代行から始めると、現場側は新たに覚えることなく仕事が進み、IT支援人材の受け入れが早くなります。現場から見れば、IT支援人材は面倒事を持っていってくれる人。この順番だから、話を聞いてもらえます。
本部のマニュアルを現場向けに翻訳して作り直す、外の目で業務改善を提案する、配属後も随時研修でフォローする。完成を待たず、進行形のまま効果を出していくのがコツです。役割と期待する成果をあらかじめ決めて運用すれば、取り組みの進み具合も振り返りやすくなります。
社内に適任者がいない場合、IT支援人材を外部から迎える方法は2つあります。建設業界特化の人材派遣サービスは、スタッフが現場・本部に入り、代行から定着支援まで幅広く対応します。BPO(業務委託)は、写真整理や安全書類作成など業務単位で切り出す方式です。
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観点 |
人材派遣 |
BPO(業務委託) |
|---|---|---|
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任せ方 |
現場・本部に入って幅広く |
業務単位で切り出し |
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向いている状況 |
任せたい範囲が流動的 |
任せる業務が固まっている |
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始め方 |
1現場・1業務から試せる |
対象業務を決めて契約 |
「どの業務を任せるか決まっている」ならBPO、「現場に入って幅広く支えてほしい」なら派遣が向いています。迷う場合は、1現場・1業務の派遣スタートが試しやすい選択です。
ツールやシステムの導入費用には、公的な支援制度を使える場合があります。2026年度(令和8年度)は、従来の「IT導入補助金」が「デジタル化・AI導入補助金2026」に名称を変更して実施されています*8。
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項目 |
内容 |
|---|---|
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運営 |
中小企業庁の監督のもと、独立行政法人中小企業基盤整備機構 |
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対象 |
資本金3億円以下または従業員300人以下の中小企業・小規模事業者(建設業を含む) |
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補助率(通常枠) |
1/2以内(一定の賃上げを行う場合は2/3以内) |
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補助額(通常枠) |
導入するITツールのプロセス数に応じて5万円〜450万円 |
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申請の条件 |
事前に登録されたIT導入支援事業者との連携が必要 |
出典: デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト(https://it-shien.smrj.go.jp/ )*8
BIMを導入する場合は、建築BIM加速化事業など別の制度も使えます。制度ごとの対象と申請方法はBIM導入の補助金で解説しています。年度や公募回によって要件は変わります。申請前に必ず公式サイトで最新の公募要領を確認してください。補助金はあくまで導入時の後押しであり、定着までの人の体制は別に設計が必要です。
理由5で触れたとおり、経営層の理解が得られないまま進む取り組みは止まります。説得の材料になるのは1現場の実測です。次の3手順なら、稟議に出せる数字を1〜2ヵ月で作れます。
効果を「情報共有が早くなる」といった定性的な言葉で説明すると決裁は通りません。1業務・1現場に絞れば、効果は時間という数字で示せます。
IT支援人材を置く場合の費用は、任せる業務の範囲・期間・体制によって変わります。一律の相場を示すことは難しいため、自社の状況に合わせた見積もりで比較してください。見積もりを依頼するとき、次の5点を伝えると精度が上がります。逆にこれが曖昧なままだと、各社の見積もりを横並びで比較できません。
まずは1現場・1業務から試せる体制を組めるかが、比較のポイントです。導入コストというデメリットを小さく始める工夫で抑えつつ、効果を確かめてから広げてください。
ツールと現場の間に立つ推進役の不在です。既存業務で手一杯の現場に、ツールとマニュアルだけを渡しても定着しません。導入後に「使われる状態」を作る人と仕組みが計画に入っていない点が共通しています。
置けます。正社員採用だけでなく、派遣やBPOなど外部人材を1現場・1業務から使う方法があります。写真整理だけ、日報だけから始めて効果を確かめ、そこから広げる進め方が現実的です。
自社の課題の洗い出しと、人員配置の見直しです。「どの業務で、どの課題を解決するか」を決めてから、それを回せる人を配置します。
現場を変えようとせず、現場の面倒事を巻き取る人を先に置いてください。面倒事が先に減れば、デジタル化は自然に受け入れられていきます。
任せる範囲と期間で変わります。まず1現場・1業務から試す形なら、範囲が限定されるぶん比較もしやすくなります。補助金の活用余地とあわせて個別にご相談ください。相談は無料で承っています。
建設DXが進まない7つの理由のうち、教育や研修で解決できるものはほとんどありません。建設DXを動かすのは、現場と本部の間に立つIT支援人材です。ノンコア業務を巻き取り、ツールが使われる状態を作ります。建設業のDX化は、生産性の向上と技術継承のどちらも、まず「現場が変わらなくても回る仕組み」から始まります。DX推進の次の一歩は、人材を置くことから踏み出してみてください。
ヒューマンリソシア コンストラクション事業部は、建設業界のルールを熟知したIT支援人材・事務スタッフの派遣とBPOで、IT支援人材の配置を支援しています。建設業向けIT支援人材・事務派遣の相談窓口よりお気軽にお問い合わせください。
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執筆 |
ヒューマンリソシア株式会社 コンストラクション事業部 |
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監修 |
ヒューマンリソシア株式会社 コンストラクション事業部 企画推進部長 清水 |
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一次情報 |
セミナー「現場DXを前進させる 建設業向けIT支援人材の活用事例」(2026年7月21日開催)で紹介した支援実績にもとづく |
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公開日 |
2026年10月 |
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最終更新日 |
2026年10月 |
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更新方針 |
統計値・補助金制度は年度ごとに見直します |
*1. 国土交通省「建設業を取り巻く環境について(参考資料集)」令和8年4月3日 https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001994097.pdf
*2. 国土交通省「令和7年版 国土交通白書」第1部第1章第1節(総務省「労働力調査」2024年による) https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r06/hakusho/r07/html/n1111000.html
*3. 国土交通省「令和7年度(2025年度)建設投資見通し」令和7年8月29日 https://www.mlit.go.jp/report/press/joho04_hh_001319.html (ピーク時・ボトム時の値は1による)
*4. 国土交通省「i-Construction 2.0~建設現場のオートメーション化~」令和6年4月 https://www.mlit.go.jp/tec/constplan/content/001738240.pdf
*5. 厚生労働省「建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/topics/01.html
*6. 中小企業庁「2022年版 中小企業白書」第2部第3章第2節 https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2022/chusho/b2_3_2.html
*7. 国土交通省「建設業を取り巻く環境について(参考資料集)」令和8年4月3日 所収(原出所は同省の勉強会資料) https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001994097.pdf
*8. デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト(中小企業庁監督/独立行政法人中小企業基盤