2019年11月28日、ヒューマンタッチ総研(現・建設HR)主催にて、「建設業界のためのICTを活用した生産性向上と働き方改革セミナー」を東京・新宿区のAP西新宿で開催しました。
今回のセミナーはメインテーマとして「建設業界を魅力ある業界へ ICTを活用した生産性向上と働き方改革」を挙げています。
セミナーの構成として、建設業界の生産性向上および働き方改革の取組や展望についてお伝えする基調講演と、深刻な人材不足の解消と生産性向上に関するソリューションを提供する企業各社によるICTソリューション講演の2本立てになっており、全ての講演を受講した希望者にはCPDS認定5ユニットが付与されます。
前回7月に実施したセミナーに関しては、建設現場の生産性向上についての講演を中心に構成していましたが、今回は、現場周りに留まらず、全社的に取り組むべき生産性向上や働き方改革について考えていただこうと思い、少しバラエティにとんだ講演を用意しました。
開催レポート
まず、開会に先立ち、主催者を代表してヒューマンタッチ総研 副所長の髙橋良久より、ヒューマンタッチ総研の紹介と、本日のセミナー講演のプログラム紹介をいたしました。
ヒューマンタッチ総研 シニアコンサルタント 髙橋良久
ICT施工における最新測量・計測技術の活用事例の紹介(株式会社パスコ)
講演のオープニングを飾る基調講演の1本目として、株式会社パスコ 事業統括本部 新空間情報部 技師長 五十嵐善一氏より、「ICT施工における最新測量・計測技術の活用事例の紹介」と題して、ドローン、MMS(モービルマッピングシステム)、SAR(合成開口レーダー)衛星等を活用した最新の各種事例紹介などについて、ご講演いただきました。
測量分野のトップランナーであるパスコ様が取り組んでいる3次元測量の最新技術をどのように活用しているか、豊富な事例をご提供いただき非常にボリューム感のある講演となりました。
株式会社パスコ 五十嵐善一氏
建設業法完全対応の電子契約「クラウドサイン」を活用した工事受発注業務の効率化手法
続いて、ICTソリューション講演の1本目として、弁護士ドットコム株式会社 クラウドサイン事業部 リーガルデザインチーム 橋詰卓司氏より「建設業法完全対応の電子契約「クラウドサイン」を活用した工事受発注業務の効率化手法」を講演いただきました。
「さらば、ハンコ」のCMでおなじみの「クラウドサイン」。
様々な場面で締結する契約書。これまでは契約締結手段として印鑑が用いられ、様々な部署や機関で、各所の押印が必要となり、時間も費用もかかっていました。
しかし現在は、インターネット上で交わされる電子商取引もいまや当たり前のものとなりました。
国土交通省から「建設業法の要件を満たした電子契約サービス」としてお墨付きを得た「クラウドサイン」について、クラウド型電子契約の仕組みと法律をわかりやすく解説していただきました。
弁護士ドットコム株式会社 橋詰卓司氏
「ポスト五輪」の建設現場で働くロボット、AIは3Dプリンターや建機、BIMなど意外な形で登場する
続いて基調講演の2本目、多くのファンが来場する目玉の講演として、建設ITジャーナリストの家入龍太氏より「『ポスト五輪』の建設現場で働くロボット、AIは3Dプリンターや建機、BIMなど意外な形で登場する」の講演をいただきました。
人間に代わって作業を担う様々なロボットやAIの最新動向を、国内外の事例を通じてご紹介するとともに、 AIやロボットに仕事を奪われることなく、逆に同僚や部下として使いこなすために人間はどのようなスキルを身につけていくべきかについて、家入氏の魅力ある語り口調で、多くの動画を活用しながら進む講演を熱心に聴講される参加者がとても印象的でした。
株式会社イエイリ・ラボ 家入龍太氏
現場の人材不足をスマートグラスで解消! 国交省にも認められた最新ソリューションとは!?
講演後、10分間の休憩を挟み、ICTソリューション講演の2本目として株式会社ブイキューブ 技術本部 第4エンジニアリンググループ グループマネージャー 内藤高史氏より「現場の人材不足をスマートグラスで解消! 国交省にも認められた最新ソリューションとは!?」を講演いただきました。
スマートグラスで現場映像を離れた場所で共有し、指示や確認を行うことでどのように建築/土木現場の“人材不足解消”に役立つかを、事例と実機のデモンストレーションを交えて解説していただきました。
音声認識で作動する「HMT-1」を使った遠隔コミュニケーションのデモとして、「カメラ起動」や「ビデオ切り替え」などを実際に行いましたが、非常に簡単で精度が高く作動するシステムに多くの参加者が大きな興味を持たれ、実際の現場での運用も想像しやすい非常に好評な講演となりました。
株式会社ブイキューブ 内藤高史氏
官民のかかわりから考える、建設業界の持つべき視点と働き方改革
続きまして、基調講演の3本目として、株式会社富士通総研 コンサルティング本部行政経営グループ マネジングコンサルタント 若生幸也氏より、「官民のかかわりから考える、建設業界の持つべき視点と働き方改革」を講演いただきました。
若生氏は、地域政策や自治体経営、規制改革を専門として、講演も多数実施されています。
今回の講演は、建設業界のみならず、通常業務においても生産性をどのようにしたら向上させられるか、 こんなところを注意するだけでも働き方改革を進められるなど、国や自治体など行政機関のコンサルタントとして研究、分析された実例をもって、すぐにでも実践すべき考え方や取組をご講演いただきました。
様々な職場で実施しているであろう、生産性向上を妨げる非効率な仕事の仕方など、聞く側にとって耳の痛いこともありましたが、目からウロコの提案もあり、とても熱い語り口調で、説得力のある講演となりました。
株式会社富士通総研 若生幸也氏
管理者不足を解消! eラーニングを活用した施工管理技士資格の取得方法とは
そして、講演の最後を飾ったのは、ICTソリューション講演として、SAT株式会社 代表取締役社長 二見哲史氏による、「管理者不足を解消! eラーニングを活用した施工管理技士資格の取得方法とは」を講演いただきました。
人手不足が叫ばれている中、施工管理技士など有資格者の不足が特に顕著になっています。有資格者をどのように育成したら良いのか、効果的に学習できるe-learningを活用したその具体的手法についてご紹介いただきました。
その中でも特に、目標設定とモチベーション管理に関する「原田メソッド」のご紹介がとても興味深かったという方が多くいらっしゃいました。
SAT株式会社 二見哲史氏
※登壇者の所属、役職ならびに主催者名は、すべてセミナー開催時点のものです。