「育児休業」とは子どもが1歳に達する日(誕生日前日)まで、育児のために仕事を休める制度のこと。1週間や1か月どころか、1年近く休めます。
「自分の勤める会社では、男性向けにそんな制度はないから関係ない!」
いえいえ、育児休業は「育児・介護休業法」という法律に基づいた制度のため、その対象者は男性・女性を問いません。会社に規定がなくても、申出により育児休業を取得できます。
「ウチは妻が勤め先を休んで取得予定なので、まぁ、自分は……」
ちょっとお待ちください。あなたも取得できますよ。しかも子どもの年齢が1歳2か月になるまでのあいだに、父母それぞれが1年間、取得可能です。
「妻が専業主婦だから、自分は取れないでしょう」
それがですね……配偶者の職業は関係ないんです。配偶者が専業主婦であなたが会社員でも、育児休業を取得できるのです!
「『休業』なんだから、収入がなくなってしまうのでは?」
たしかにそのとおり。しかし一定要件を満たす場合、「育児休業給付金」として、休業開始時賃金の67パーセント(休業開始から7カ月以降は50パーセント)が支給されます。
「いやあ、5割や6割の給与では暮らしていけないでしょう」
早合点するのはまだ早い。あまり知られていませんが、実は所得税などの税金や社会保険料、雇用保険料が減額・免除されるため、結果として、手取りの約8~9割が手元に残るのです。
「職場に育児休業を取りたいと言い出しにくい空気があって・・・」
かなり多くの方がこの点で悩んでいるのではないでしょうか。そこで、2021年6月に成立し2022年秋に施行される改正法案では、会社側が育休取得対象となる男性に対して制度について説明をし、取得したいかどうかを個別に確認することが義務化されるようになるのです。
「入社1年以内の契約社員、派遣社員では無理と以前社内研修で聞きましたが?」
確かに、現在の法律では「雇用されて1年未満の非正規雇用者」は育休を取得できません。しかし、これについても2022年秋の改正後は取得できるようになります。そしてもちろん、育休制度は正社員だけのものではありません。
このように充実してきている育児休業制度。来年(2022年)の改正では、取りづらさや収入面など現行法の問題点が改善され、女性の育休取得率83.0パーセントに対し、わずか7.48パーセント(いずれも2019年度、厚生労働省『雇用均等基本調査』)と桁違いに低迷している男性の育休取得率も好転すると見込まれています。
しかし、この7.48パーセントでも以前に比べれば右肩上がりに伸びているのが実際のところ。なぜこんなに低いのでしょうか?